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ピケティの説

トマ・ピケティ『21世紀の資本』みすず書房(2014.12)が話題になっている。
気になって『週間東洋経済』1/31号を読んでみた。
(その要点)
 r>g (r:資本収益率、g:経済成長率)
株や不動産、債券などへの投資による資本収益率は経済成長率を常に上回っている。資本主義下では、資本を多く保有している富裕層に益々富が集中し、そうでない人との格差がさらに拡大する。
(格差が広がる構造)
(1)β(↑)=s(→)/g(↓) (β:資本/所得比、s:貯蓄率、g:経済成長率)
  低成長と高貯蓄率で、資本/所得比が増加する。βはだいたい5~7。日本は6以上。
  (計算例:β=資本(ストック)K/所得(フロー)Y=3048兆円/482兆円=6.3)  
(2)α(↑)=r(→)×β(↑) (α:資本所得/所得比、r:資本収益率)
  言葉で書けば、α=(資本所得/資本)×(資本/所得)=資本所得/所得
  資本収益率はさほど下がらずとも、資本所得のシェアが拡大する。βが↑ならαも↑の関係。
  (計算例:234兆円/482兆円=0.48、国民所得中、資本収益の割合は48%)   
(3)資本保有は極めて偏在するため、格差が拡大する。
  ※( )内:矢印の方向は上昇、横ばい、下降を表す。
(何が新規なのか、感想)
近年、クズネックの逆U字仮説(所得分布は経済成長の過程で不平等化が進むが、一定の時期を過ぎると一転して平等化に進むとする説(マルクスが資本の集中・集積が労働者の窮乏化をもたらすとして将来に悲観的見方を示したのに対して、クズネックは楽観的な展望をもたらした。)、トリクルダウン(trickle-down)説(まず富める者が富めば最終的には社会全体に富が行きわたる、何よりも経済成長が大切)が政策の基本とまでなっている。これに対しては、そもそも先進国での経済成長は期待するほど可能なのか、失業率は下がったが非正規雇用の拡大でむしろ格差は拡大傾向にあるではないかなど疑問が多いのであるが、成長を前提としなくても明るい展望が開けるとの有力な経済理論はないために成長はすべての良薬と考えることにしようとなっている。これに対してピケティは、上位1%の所得シェアは1970年代以降、上昇し続けている(約10%から約20%)こと、長期的にも資本収益率(r)が経済成長率(g)を常に上回ること(r>g)をデータで示し、資本主義経済は富める者がますます富む経済なのだと論じている。これまでの経済理論からみた位置づけ、評価などは経済学者に任せるとして、ピケティは多くの人が感覚的には感じていたことをストレートに実証したことで新鮮なのである。これから出てくる処方箋は大胆な累進資産課税。現実に採りうる政策なのかと問えば、高所得者の抵抗、世界各国の協調体制が必要となり悩ましいのだが、誰もが容認できる格差の範囲を越え、それが世代を超えて固定化する社会を放置しておいて良いとは言えない。幸い日本は米国ほどの格差はないものの所得再分配前の状態でみると格差は確実に拡大しつつある。日本においては欧米に比べ超高所得者というよりむしろ超低所得者が増えているのではないか。いづれにせよ長期的展望に立って日本社会を見直し社会の仕組を考える良い時期ではある。
参考:2013.10.12ブログ記事(所得再分配調査結果)

参考 トマ・ピケティの略歴
1971年生れ、公立高校卒業後バカロレアのC種(数学と科学)を取得、18歳でフランスの中で最も難易度の高いグランゼコールの一つパリ高等師範学校に入学、わづか22歳で高等師範学校とロンドン・スクール・オブエコノミクスの経済学博士号を取得。現在、パリ経済経済学校教授。経済的不平等の研究者として有名。

参考
ピケティの見方に対して、日本は欧米と様相が異なるという指摘もある。
野口悠紀雄氏によれば、α(国民所得に占める資本所得シェア)に相当する営業余剰/GDP比をみると1950年の40程度から20程度に低下している、αの低下原因はrの低下にあり、r(資本収益率)に相当するものが営業余剰/国富比とみれば1970年代の10から2以下に低下していること、これを法人企業統計の総資本営業利益率でみても1961年の8%から3%内外に低下していること、また貯蓄率sも1970年の30%から0%内外に低下していることを挙げている。わが国における格差の問題はαの上昇によってではなく非正規雇用の増など別の要因から考えた方が良いとしている。参考:ダイアモンドオンライン(野口氏意見) 

参考 民間給与
国税庁による2013年「給与階級別給与所得者数・構成比」によると、上位1%は1500万円以上であった。1%の中での分布は分からないが日本では極端に高額報酬者はいない。
引用:国税庁ホームページ(民間給与実態統計調査)

参考 非正規労働者比率、新卒就職状況
非正規労働者比率等(厚労省労働力調査(12月分)
完全失業者数:3.4%、雇用者数:5308万人、内非正規雇用者数:2016万人(対雇用者比38%)
2014年3月卒業者就職状況(文科省学校基本調査)
高校卒業者:105万人、内一時的な仕事に就いた者+進学も就職もしていない者:6万人(5.6%)
大学(学部)卒業者:56.6万人、内一時的な仕事に就いた者+進学も就職もしていない者:6万人(14.7%)
修士課程修了者:7.3万人、内一時的な仕事に就いた者+進学も就職もしていない者:1万人(13.6%)
博士課程修了者:1.6万人、、内一時的な仕事に就いた者+進学も就職もしていない者:4千人(26.1%)
2013年度奨学金返納延滞者数(日本学生支援機構)
33万4千人、957億円。自己破産者も出ている。
※格差を考える場合、世代間格差も重要だが長期的にみれば世代内格差がより問題である。

参考 相対的貧困率
ピケティは上位1%等の高所得者の総所得シェアを調べた。では下位所得者にフオーカスすればどうなのだろうか。OECDの統計によると、2000年代半ばの時点でOECD加盟30カ国中、相対的貧困率が最も高かったのはメキシコ(約18.5%)、2番目トルコ(約17.5%)、3番目米国(約17%)、次いで日本(約15%)であった。厚労省が2014年7月にまとめた「国民生活基礎調査」でも相対的貧困率は16.1%(子供の貧困率16.3%)だった。日本人の6人に1人は貧困層となる。国民の幸福度を想定する場合、1人当たりのGDPで比較されるが、格差が小さいほど幸福度は高いという調査結果もある。格差を論ずる場合、この観点からの検討も必要であろう。
※相対的貧困率:相対的貧困者の全人口に占める割合。相対的貧困者:等価可処分所得(世帯の可処分所得を世帯員数の平方根で割った数字。平方根で割る理由は家族数が増すほど住宅、生活用品などで共用部分が増え1人当たりの費用が減る、即ち可処分所得が増えることを表現できるからとされる。そういう観点で1人世帯、核家族化をみれば社会全体としてはコスト高な社会ということになる)が全人口の中央値(2012年の日本では244万円)の半分(同122万円)未満の世帯員を相対的貧困者としている。
参考:厚労省ホームページ(国民生活基礎調査)

参考 日本における純金融資産の階層別世帯数と保有金融資産規模
超富裕層(5億円以上)5.4万世帯、73兆円、富裕層(1億円以上、5億円未満)95.3万世帯、168兆円、準富裕層(5000万円以上、1億円未満)315.2万世帯、242兆円、アッパーマス層(3000万円以上、5000万円未満)651.7万世帯、264兆円、マス層(3000万円未満)4182.7万世帯、539兆円
(野村総研が2014年11月18日発表した資料)
本報告によると、超富裕層、富裕層の世帯比率は1.9%、純金融資産に占める比率は18.7%となる。マス層をみると世帯比率は79.8%、純金融資産に占める比率は41.9%となる。
2011年、2013年比較では、超富裕層、富裕層の資産が28%増えたのに対してマス層では7.8%増であった。富裕層は金融資産を預貯金以外にも分散しており、アベノミクスによる株価上昇などが富裕層の資産増をもたらした。ピケティの指摘にも良く合っている。ただ富裕層の金融資産のうち約6割がリスク資産と言われるから長い目で見た場合安定的な資産かどうかはわからない。

ピケティは何を語りたかったのか?
r>gは資本主義の基本構造だとするならば資本主義を否定しているわけではない。この関係から問題にしているのはグローバル世襲資本主義であり、それを抑制し効率と公正を両立させる政治体制を改めて考えるべきだと言っている。その例として挙げられているのが累進資産課税(少なくとも金融資産)。ピケティの本に1900~2013年の最高所得税率の各国比較(米、英、独、仏)が載せられており、1940~65年の米国では90%超(現在40%)であったことを示している。米国」が初めから市場主義の国であったわけではなく、その後の政治によって今日のようになった。逆説的言い方をすれば、どのような国にしたいか、それに向けてどう取り組むかの政治哲学があれば社会は納得のいく方向に変えられると言っているのだろう。現実論、技術論を越え、社会の効率と公正をいかに維持するのか問いているのだろう。
by bonjinan | 2015-01-28 22:22 | 政治・経済

早春の花@浜離宮(1月下旬)

   冬暖か、どんな花が咲いているのか、浜離宮恩賜庭園を歩いた。
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   ロウバイ(蝋梅):ロウバイ科
   中国では梅、椿、水仙とともに雪中の四花と言われるようだ。
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   コウバイ:バラ科
   普通の梅はまだ蕾も膨らんでいないのだが紅梅(寒梅)だけが咲いていた。
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   ツバキ(椿):ツバキ科
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   ニホンズイセン(水仙):ヒガンバナ科
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   中島の御茶屋にてお茶をいただきながら日向ぼっこ。
   今日は外も暖かったがここは一層暖かい。
by bonjinan | 2015-01-25 17:46 | 旅、散歩

ギルガメシュ叙事詩

『ギルガメシュ叙事詩』とは古代メソポタミアの文学作品。
先日、市民講座で上智大・月本昭男先生から解説いただいた。
お話いただいた何分の一も理解していないが以下、そのメモ。
(ギルガメシュ叙事詩概要)
古代メソポタミアの文学作品。ギルガメシュは、紀元前2600年頃、シュメールの都市国家ウルクに実在した王とされる。紀元前1800年頃、それまでにあったいくつかのギルガメシュ伝説が一つの話としてまとめられ『ギルガメシュ叙事詩』が生まれた。19世紀になり、遺跡から発掘されていた粘土板に刻まれた楔形文字が解読されたことで、今日、私たちが読めるようになった。『ギルガメシュ叙事詩』では、ギルガメシュとエンキドゥの出会い、友情、フンババ退治、女神イシュルタの誘惑と天牛、エンキドゥとの死別、永生探究の旅、冥界における死者の運命が語られる。約4000年前の昔から人は人生とはどのようなものか深く考察していたことに驚かされる。また何千年の時を経ても人の考えることはほとんど変わっていないことも知らされる。
以下、人の生き方に関連して抜粋。

古バビロニア班[Y]Ⅳ、5-15
わが友よ、誰が天に上れるというのか、
シャマッシュと共に永遠に[住]むは神のみ。
人間の[生きる]日々は数えられている。
彼が成し遂げることはすべて風に過ぎない。
あなたはここにおよんで死を恐れるのか。
あなたの勇猛果敢さは何だったのか。
あなたの前をわたしがゆこう。
あなたは口で叫べばよい、「近づけ、ひるむな」と、
もし斃(たお)れたら、わたしはわが名をあげるだろう、
ギルガメシュはかの恐ろしいフワワと戦いを交えたのだ、と。
※シャマッシュ(メソポタミアの太陽神)、フワワ(=フンババ、怪物)

古バビロニア班[M]ⅠⅠⅠ、1-14
ギルガメシュよ、お前はどこにさまよい行くか、
お前が探し求める生命をお前は見出せまい。
神々が人間を造ったとき、
彼らは人間に死をあてがい、
生命は彼ら自身の手におさめられてしまったのだ。
ギルガメシュよ、自分の腹を満たせ。
昼夜、あなた自身を喜ばせよ。
日毎、喜びの宴を繰り広げよ。
昼夜、踊って楽しむがよい。
あなたの衣を清く保つがよい。
あなたの頭[髪]を洗い、水を浴びよ。
あなたの手にすがる子供に眼をかけよ。
あなたの膝で妻が歓ぶようにするがよい。
これが人間の[なすべき]業なのだ。

(追加)
『ギルガメシュ叙事詩』では人を
「彼が成し遂げることはすべて風に過ぎない」と表現した。
『旧約聖書(詩篇103篇15-16節』では、
「人間の生涯は草のよう、
野の花のように咲きはするが、
そこに風が吹けば、失せてゆく」と表現している。
by bonjinan | 2015-01-24 20:17 | 文化・歴史

蝋梅の花

  公園に蝋梅の花が賑やかに咲いていた。
  花が次々と咲く春が待ち遠しい。
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   ソシンロウバイ(素心蝋梅):ロウバイ科 @新宿御苑
   ロウバイの内側は紫色ですがソシンロウバイは全体が黄色、香りも高い。
by bonjinan | 2015-01-17 17:49 | 季節の花

今年の初散歩

   今年の初散歩は東京スカイツリーの空中散歩となりました。
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    ここでは「空詣で」という。@フロア350、展望デッキ。    
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    天望回廊(フロア445~450)
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    東京タワー方面(画面では品川-東京タワー・東京駅-新宿)。
    今年も元気で歩きたいものです。
by bonjinan | 2015-01-05 19:00 | 旅、散歩