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AIの進化が社会にもたらす影響(No.2)

AIの進化が社会にもたらす影響(No.1)の続きです。
以下新規掲載順。

2021.12.3 日本におけるICT、AIの応用分野
オクスフォード大学のフレイとオズボーンは米国の職業のうち47%がAIに置き換えられるとの論文を発表して以来(2013年)、現場検証もなく経済学書でやたらと引用されている。日本は人口、労働人口の減少で生産性を大きく引き上げねばならないにも関わらず、ICT、AIの進展が鈍いと思えてならない。もちろん限られた分野、例えば画像認識等による自動機器ではこれまでの延長で応用されてきていると思うが、営業、事務処理、意思決定分野ではほとんど手つかずように思う。ジョブが定義されていないわが国ではICT化そのものが難しいからだ。またレガシーシステムを抱える企業では更新に大きな投資を要することも足かせになっている。どこかで、最新システムに合わせたジョブ定義(働き方)に改革する勇気が必要だろう。

2021.1.17  AI、ノーベル賞級に迫る
日経新聞(1/16付)にこんなタイトルの記事が載っていた。あらましは次のようなもの。米国の科学誌サイエンスが毎年末に公表する科学研究の「十大成果」に、2020年を代表するブレークスルーの一つとして、米アルファベット傘下の英ディープマインドの「アルファフォールド」と呼ぶAIが選ばれた。そのAIはタンパク質の立体構造を高精度で予測する。タンパク質は20種類のアミノ酸が数珠上につながってできていて、その機能は形に左右されるため、複雑な立体構造を調べる研究は今も昔も盛んだ、これを調べるには膨大な時間と費用が掛かっていた。最終的にはたんぱく質の構造からその振る舞いの解明、たんぱく質と投薬の結合と振る舞いに発展することで道のり遠いが重要な第一歩を踏み出したと評価されている。

2020.11.15 ケインズの予言
コンピュータが全人類の知性を越える未来のある時点を「シンギュラリティ」といい、米国の著名な発明家レイ・カーツアイル著書『シンギュラリティは近い、人類が生命を超越するとき』(2005年)で提唱し、2045年に到来すると予測した。カーツアイルの予言は現在すでにある技術の進歩からある程度予測できるものであるが、今から遡ること90年前、J.M.ケインズは論文「孫たちの経済的な可能性」(1930年)で、1929年に始まった世界恐慌を「技術進歩終焉、絶望の時代とは捉えず、今の苦しみは過去の行いのツケではなく、急速な成長の痛みに過ぎない」とし「このまま科学が進歩し労働効率が上がれば100年後には孫たちの労働、必要すらなくなる」と予言した。100年後とはちょうど2030年、あと10年後である。絵空事のようでもあるが、コロナ禍により、インターネットが今まで以上に使われるようになり、出歩かなくても結構いろんなことができることを実感してきた。生活必需品についてはこれからももちろん必要だが、経済が成熟しGDPでは計測できないものに価値を感じるような時代に入っているような気もする。ケインズの予言が新鮮に思えてきた。参考:NHK-BS1、11/14「落合陽一、オードリー・タンに会う」、参考2:オードリー・タン:台湾のプログラマー、現台湾デジタル担当相

2020.8.21 藤井棋聖、最年少2冠
藤井聡太(18)は20日、王位を獲得し2冠、八段昇格を18歳1ヵ月で達成した。藤井氏は「AI将棋はなぜその手を指すのか理解しなければ実力は上がらない」というようなことを述べたという。実際、今回の封じ手以降は、ほとんどAI将棋の手と同じだったというから言説に説得力がある。新井紀子は著書『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』で、「AI=確率・統計の世界。論理的思考は人間にしかできない。よって教育とは文章の読解力から始まって論理的思考を養うことだ」というようなことを述べている。一方、藤井氏はAIをツールとして使いこなそうとしているところに大きな違いがある。新井の思考を越えた新世代感覚、逞しさを感じる。AIを自分たちが生きてきた時代には経験することのなかった異物とみて粗探しするのはもう時代遅れなのかも知れない。まさにジェネレーションギャップを感じざるをえない。加藤一二三九段も素晴らしいことを言っている「この先AI(人工知能)研究がいかに隆盛を誇ろうとも、藤井聡太二冠は、人間の探求心と求道心の先にある芸術的な一手により盤上での感動を追求し将棋界をわかせていただけることを願っております」。加藤氏もAIを使いこなしそれを超越せよと言っていると理解した。
(参考)将棋ソフト:基本はミニマックス法、想定される最大の損害が最小になるように決断する戦略をとる。

2020.4.28   コロナ危機とAI
コロナ危機が広がるにつれAIを活用した監視システムが注目されている。コロナのような感染がどんどん広がるような状況下では有用なシステムと認識されるが、歴史学者・ユヴァル・ノア・ハラリは「一旦設置されると、コロナ危機が過ぎ去っても、また同じような感染症が広がるかも知れないことから破棄されることなく、設置され続け、知らぬ間に監視社会に突入していく」と警鐘を鳴らしている。従って、その運用は政府ではなく、疫学者、倫理学者などから構成される第三者機関による運用と市民が確認できるオープンなシステムが前提になる(一部意訳)というようなことを述べている。コロナ危機を契機に監視システムはどう適用され、運用されるべきか、しっかり議論する必要がある。

2019.10.24  Google「超計算」成功
米グーグルは23日、量子コンピュータを使い、乱数をつくる計算問題を用意して計算したところ、最先端のスパコンが約1万年かかるのに対し、量子コンピュータは3分20秒で解くことができたという(日経)。量子コンピューターにはグーグルの開発したとする量子ゲート方式(汎用性が高い反面、超電導状態で計算可能な状態を維持すなどで高コスト、実用化にはかなり時間がかかるとされる)、アニーリング方式(入力する変数が限定的ながら組み合わせ問題に適しているとされる。既存コンピュータで量子の動きを疑似化し実現するもの、実用化が至近距離にあるとされ富士通などで取り組む)、光ネットワーク(量子や脳神経の動きを疑似化する方式、アニーリング方式同様入力変数は限定的なようだ)などある。AIと並びまったく新しい世界を切り開く技術とされるがそれがどのような世界をもたらすのか想像するのが難しくなってきた。

2019.9.11   GAFAへの政治圧力
米50州・地域の司法長官らは9日までに米グーグルとフェイスブックへの調査を始めると発表した。反トラスト法(独禁法)を巡る政治圧力が強まった(日経)。

2019.8.9   米ウーバーの赤字
米ライドシェア最大手ウーバーテクノロジーズは8日、19年4~6月期の最終損益が52億3600万ドルの赤字だったと発表した。新規株式公開(IPO)に絡む費用があったとするが本業の売上は前年の伸び率53%から大幅に縮小し2%程度にとどまる。急成長企業の代表格であるが競争が激しいことと、2割程度の取り分では運営費用、研究開発が賄えない状態だという(日経)。デジタルサービスはコストが掛からず利益を生み出せると持てはやされているが必ずしももそうではなさそうだ。サービスに参加するための負担が2割とするとそれはそれで大きい。

2019.7.27   仏のデジタル課税に米トランプ大統領非難
仏はオンライン広告などの売り上げに3%課税する方針を打ち出したがトランプ大統領は米企業を狙い撃ちしたものだとして報復するとけん制した(共同)。仏の政策は大きいことはいいことだに一石を投じた意味は大きい。問題は課税根拠をもっと明確にして世界標準にすることだ。

2019.7.23   判断根拠を示すAI
AI活用で悩ませていたのが判断根拠のブラックボックス化であった。深層学習を使うと高度な分析ができる一方で判断根拠が分からなく、問題が起こっても追跡できない可能性があった。そこで最近注目されているのがXAI(説明可能なAI。基本コンセプトとしてはAIを別のAIで監視し分析するシステム)。最近、富士通、NECなどが取り組み始めたという(7/23日経)。筆者にはその詳細を説明するだけの知識はないがどうやら、現状、深層学習などのAIと既存知識体系と突き合わせ合理的根拠を見出すもののようだ。そうだとすれば無理やり理屈付けした屁理屈にならなければ良いが。

2019.7.7   相関関係と因果関係
コンピュータは大量データから相関関係を見つけ出すことを得意とする。しかし相関関係があるからといって因果関係があるとは限らないにも関わらず原因と結果を平気で論じている場合が多い。こうした誤りは実験室で行う実験であれば再現実験してみることである程度、検証できるが社会現象のように簡単には実験できない対象については注意を要する。単なる偶然、交絡因子の存在(外部因子)、原因と結果の一方向性を疑ってみる必要がある。特に、図表を多くし相関関係を根拠にして論理的記述を装った書籍には注意を要する。このことは、やや古い本だが、中室牧子、津川友介『原因と結果の経済学』ダイヤモンド社、2017年に詳しく書かれている。

by bonjinan | 2021-01-17 08:29 | 文化・歴史