日本の経済(No.17)の続きです。以下、新規掲載順。
2020.3.23 長期金利上昇傾向
長期金利が上昇傾向にある。例10年物国債、3月2日-0.133%、3月18日+0.064%
2020.3.16 日銀、追加金融緩和
日銀は16日、金融政策決定会合を前倒しで開催。FTF買入れを12兆円に倍増するとした。新型コロナの終息が見通せない状況でどうかなと思う。コロナ封じ込め策こそ重要だ。またそれ以前の問題として、日本の場合、異次元の金融緩和をし続けていて限界がある。そもそも金融緩和も財政出動も短期的カンフル剤と言われているにも関わらず、大規模金融緩和についてはアベノミクスが始まってから8年、もう長すぎてむしろ長期的には弊害になる。
2020.3.10 日銀、マイナス金利政策の限界
日銀のマイナス金利政策が新たな局面を迎えているという。融資先がないマネーが当座預金に流れ込んでいる状況で、マイナス金利とその金額が膨らめば、メガバンクの経営は厳しくなる。ただこのことはメガバンクの問題に止まらず、主たる預金者となる大口法人に負担転嫁される可能性もある。
(参考)
日銀の当座預金残高:378.3兆円内訳:基礎残高208.4兆円(金利+0.1%)、マクロ加算残高147兆円(ゼロ%)、政策金利残高22.9兆円(マイナス0.1%) (以上出所:日経3/10付記事)。
もし大口法人に負担が転嫁されるとすれば、企業への内部留保課税と意味合いは同じになる。内部留保が膨らむ状況を是正する観点からすれば意味はある。しかし預金をしているのは企業だけではなく個人にも影響はおよぶ。そもそも現状でも、物価上昇率より預金金利は低く、実質的には預金者に税金が掛かっていると同じことである。
マイナス金利の深掘りは増税と等価であり景気を悪化させる作用を及ぼす。日本においての金融政策は伸びきったバネと同じで景気調整力を失ってしまった。長期的視点に立った地道な経済再建が必要になっている。
(参考)日銀、準備預金制度適用先合計
2013年1月末残高40兆円→2020年1月末残高351兆円(+311兆円)
2020.3.9 株安、円高
日経平均株価 19,698円(前日比、▲1050円安)
午後9時現在、1ドル102.26-.27(前日比、3.53円高)。
2020.3.9 2019年10~12月期GDP(2次速報値)
実質GDP成長率:-1.8%(年率換算-7.1%)、外需寄与度***%、内需***%
名目GDP成長率:-1.5%(年率換算-5.8%)、外需寄与度***%、内需***%
出典:
内閣府HP「GDP統計」7-9月期以前、特に7-9月期の低い成長率(実質+0.1%、名目+0.5%)からみて、10-12月期の減は消費増税前の駆け込み需要に対する反動減とは大きな声では言えなくなった。景気が低迷している上に更に景気は減速したとなる。1-3月期はコロナウイルスの影響で更に落ち込むだろう。将来への不安という構造的要因を軽視しては長期低迷しかない。政府、技術革新、AIなど新しい分野の話題が頻繁に報道され企業、研究者、若い人もその方向に流れるようにならないと長期凋落路線からは脱出できない。厚労省がコロナ検査数が直ちに掴めないような状態では経済成長を論ずる資格がない。まずこれを機会に役所から率先してIT化(まず文書管理、議事録が書けないのなら音声記録による文書化、コロナ検査数情報管理ネット、・・・)、働き方改革(つじつま合わせのための無駄な時間の追放、馬鹿な大臣のための発言下書き、・・・いくらでもある)に取り組んで欲しい。
2020.3.9 2020年1月分、経常収支(速報)
経常収支:6123億円(前年同月比+6.6%)。
内貿易収支:▲9851億円(同+1.6%)
内サービス収支:▲1627億円(同+8.7%)
内第1次所得収支:1兆8476億円(同+4.8%)
特記事項:サービス収支が前月比マイナスに
出典:
財務省ホームページ「国際収支状況」2020.3.6 1月分、家計調査報告
〇全体の家計(2人以上の世帯)
消費支出:1世帯当たり287千円、前年同月比;名目-3.1%、実質-3.9%
時系列でみると9月で増(いわゆる駆け込み消費)、10月以降実質で-4%程度で推移。
出典:
総務省ホームページ「家計調査報告」2020.3.5 企業の内部留保の構造
日経3/5付Analysis、積み上がる内部留保(下)に駒大・小栗崇資「年間増加分に課税も一案」との記事が掲載されている。1971~1985年度、1986~2000年度、2001~2018年度に分け内部留保の構造について分析されている。その要点は二つ。①1971~2000年度においては売上増により内部留保を増やしたがその多くは設備投資に回した。2001~2018年度では売上高はほとんど増えないにも関わらず人件費削減(82兆円)、法人税減税(46兆円)を主因として金融投資増加(73兆円)、自社株増加(18兆円)、子会社投資(135兆円)に回った。問題なのは子会社投資の多くは海外に出て行くこと。すなわち国内における賃金抑制、減税分が海外に行っていること。②国内での有効な投資、賃金アップにマネーを回すには内部留保課税も一案としている。皆がそう思っていることを数字で明らかにしてくれている。
2020.3.3 景気の悪化に打つ手はあるのか。
日銀は2日、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ「潤沢な資金供給」するとの総裁談話を発表した。その効果あってか日経平均は上昇に転じたが、3日午後の日経平均は2日比、またマイナスに転じた。世界中がフリーズしてきた、あるいは更に酷くなる可能性が高い状態ではいくら資金供給(金融緩和)を叫んでもほとんど効果もないだろう。そもそも異次元緩和は株価以外、本当に経済を活性化していたのか疑問。世界経済の回復に支えられての回復だったのではないだろうか。新型コロナが更に拡大するようだと、日本では打つ手は限られ先行き不安から泥沼化する可能性もある。
(参考)
2013年1月マネタリーベース残高132兆円→2020年1月値514兆円(+382兆円、+289%)
2013年1月マネーストックM3残高1138兆円→2020年1月値1379兆円(+241兆円、+21%)
2013年1月銀行・信金貸出残高465兆円→2020年1月値545兆円(+80兆円、+17%)
2013年1月預貯金残高575兆円→2020年1月値734兆円(+159兆円、+28%)
2013年1月日銀準備預金残高40兆円→2020年1月値351兆円(+311兆円、+775%)
2019.2.21 1月分、消費者物価指数
CPI総合 0.7%、コアCPI 0.8%、コアコアCPI 0.8% (数値は前年同月比)
消費増税後の変化としては小さい。消費増税分は消費を抑えるそんな姿のようである。
出典:
総務省ホームページ(消費者物価指数)
2020.2.21 12月分、毎月勤労統計(確報)
現金給与額総額:56万4886円(前年同月比-0.2%)
実質賃金指数(2015年平均=100):174.1(前年同月比-1.1%)
出典::
厚労省ホームページ「毎月勤労統計」2020.1.22 日銀、デジタル通貨研究
日銀は欧州中銀などと連携し中銀発行のデジタル通貨を研究する新しい組織をつくると発表した。中国(デジタル人民元)、スウェーデン(eクローナ)などがデジタル通貨の発行を準備ないし予定していることから、国際的な決済手段が激変しつつあると言われている。(日経)
2020.1.12 原油の中東依存度
世界1980年約55%→18年1/3、日本2001年→現在90%弱で変わらず、中国2001年約55%→40%強、米国30%弱→20%強、オランダ35%→15%(以上、日経)。中東が不安定化すれば日本への影響が極めて大きいことを表している。原油精製装置と原油産地には相性があり産地が変れば精製方法、設備を変えるか調整が必要ということで、やり易い中東産に集中しているというのが石油精製会社の説明(以上、日経)。企業論理としては分かるがリスク管理の面では日本全体の問題であり、自衛隊の中東派遣以前の問題あるいは独立して議論すべき論点ではないか。
2020.1.11 何歳まで働くか
日経郵送調査によると「75歳以上が16%、70-74歳が21%、65-69歳が26%、60-64歳が14%」で、「回答世代別にみても定年が現実味を帯びる層ほど高齢まで働くつもりが増える」だったという。「70歳以上と回答した人を職業別でみると社員・職員の28%に対して自営業者は46%」だった。いづれも想定される数字。積極的に仕事を続けたいというより生活資金など経済面を考えての不安からの回答に思える。近年、80歳、90歳の老人が増え「人生100年」も当たり前のように言われるが寿命が延びても健康寿命は概ね70-75歳だ。年金だけでは生活費が不足する、あるいは最低の生活で我慢するしかないから、介護費用をどう工面するかが心配の種になる。結果として皆、蓄財に励み、金が回らないことになる。単に何歳まで働くかではなく、働くことを通じて、健康を維持し、かつゆとりある生活を送れるかが問題になる。そもそも人生をどう楽しく過ごすかは前世代にわたってのテーマ。あくせく働くことからだけでは質の高いサービス、製品は生み出せず、日本の競争力はますます低下していくことに思いを馳せる必要がある。いかにゆとりをもって働くかは、企業の国際競争力を高め、かつ日本全体の生産性を引き上げることと深く関係している。働き方改革は個人の生き方の問題、責任において考える問題ではなく、日本全体の問題なのだ。最近発売された、堀内都喜子『フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか』ポプラ新書を参考にしたい。
2019.12.22 2020年度予算案
2020年度予算案(一般会計総額102兆6580億円)が閣議決定された。メディアは決まりきったように社会保障費5.1%増などと騒ぎ立てている。もっと問題にすべきは、低成長とその経済成長にも及ばない税収の低さ、その税制にあるのではないか。所得税、法人税の減税、及びキャピタルゲイン課税が格差拡大をもたらしていると同時にそれが将来への期待を込めた投資に結びつかないことからマネーゲームが盛んになっているだけなのではないか。金融緩和は結局、このマネーゲームを刺激しただけではなかったのか。一方、消費増税は安定税収だとしてもその逆進性から中低所得層の消費を抑制することになり結果として低成長を引き起こしているのではないか。実際、賃金所得が上がらいないために消費税を上げればその分消費は減る関係になっていると思われる。消費税VS.所得税、キャピタルゲイン課税。税制を抜本的に見直す時期にきているように思う。
1990年度と2020年度予算を比較してみる(名目GDP、税収、所得税、法人税、消費税順)。
1990年度: 453兆円、61.1兆円、26.0兆円、18.4兆円、 4.6兆円
2020年度:約560兆円、63.5兆円、19.5兆円、12.1兆円、21.7兆円
参考:
財務省HP、2020年度予算案
2019.11.21 技術的イノベーションの絶対視に疑問
今日も日経経済教室記事から。EHESS日仏財団理事長S・ルシュバリエ氏「日本企業、組織的強み再考を」の記事。ポイントは、技術的イノベーションの絶対視に疑問も、競争力強化の手段ではなく幸福の源泉に、
この30年日本企業は人的資源管理を軽視しているであった。 著者は1997~2017年の20年間における労働分配率は変動しながらも傾向として低下(約75%→約68%)している一方、科学技術研究費は増加傾向(約16兆円→19兆円)にあるものの顕著な成果が表れていないと指摘する。
日本は70~80年代の強みの源泉、すなわち、非技術的なイノベーションの源泉、言い換えればテクノロジーを越えるイノベーションに立ち返って考えてみるべきだと提言する。例としてトヨタはロボット工学や機械化、自動化ではなく、生産の各段階に対する人間の関与の強化が成功をもたらしたとしてあげる。筆者意見。トヨタの例は注意を要する。かつてバブル崩壊後の日本の多くの企業厳しい経営環境の中でトヨタ方式のカイゼン活動に飛びついた。結果は明らかである。自動車を除いた多くの製造業が衰退してしまった。トヨタの強さを表面的に理解してはならない。カイゼンしても現状維持が精一杯の産業は確実にある。日本にはそれが多い。
日本の基本問題は追いつけ追い越せの時代が過ぎたにも関わらず大きな目標がないまま短期的なカイゼン、開発に明け暮れていることではないか。それも時流に沿った目標というだけで、GOALがきちんと描かれているわけではないので、成すべきことがブレークダウンされず組織的に取り組むことができない。こういうことではないか。
2019.11.19 生産性向上に寄与する財政出動
日経経済教室に、富士通総研、早川英男氏による「マクロ政策の新枠組みを」の記事が掲載されていた。ポイントは、非伝統的金融政策の効果への期待が薄れたこと、金融緩和が本来適切な政策対応の代替に、財政政策を拡大する際は賢い支出重視をであった。現状での世界経済をニュートラルな眼で俯瞰して記事にされている。MMT(現代貨幣理論)については積極的に否定はしていないが非効率な財政出動は長期的に見れば潜在成長率を低下させるとして、
生産性向上に寄与しない財政出動には明確に歯止めをかけるべきであり、政府から独立して、財政支出のあり方を検討し提言する独立財政機関が必要としている。理性的な見解を展開しているエコノミストの一人である。
2019.11.16 為替相場と輸出の関係
日本経済研究センターが産業連関表などから分析したところ、日本経済は円安による負の影響が大きくなっているという。具体的には対ドルで10%の円安になったと仮定し、外貨建てで輸出する商品の円換算額が増え売上高が膨らむプラスの効果と輸入品が値上がりし国内の物価もあがるマイナス効果を差し引きすると、2015年は全産業の付加価値額が0.9%押し下げられた。マイナス効果は00年に比べて3倍になった。この理由として①企業が価格競争から距離をおいている、②電機産業の退潮、一方③エネルギーはじめ輸入物量が確実に高まっていると分析している(日経)。
単純な話として、決済通貨が米ドル等外貨、輸出額>輸入額の関係が強まっている状況であれば円安はGDPの増加に確実に寄与する。しかし輸出額>輸入額の関係が定着しなくなった状況では円安良しとはならない。財よりサービス、何よりも成熟した債権国として資産運用をどう高めるかが重要になっていることにもっと留意すべきだろう。円安により外人旅行客が増えたと喜ぶ人も多いが文化交流としての意味は大いにあるとしても長期的な経済的効果を期待するのはどうかと思う。もし経済の柱として重視するなら文化面での魅力をどう高めるのかの議論をすべきである。
2019.9.13 長期雇用と働き方改革
9/13日経教室に中央大、江口匡太教授「70歳雇用時代の正社員改革、能力評価、中高年活用の鍵」の記事があった。仕事には仕事の中身と成果が見えやすいものと見えにくいものがある。見えやすいものは外部に委託できるが、見えにくい仕事があるために企業は長期雇用を前提とした正規社員を雇う。人口減少、社員が高齢化するなかで中高年に活き活きと仕事をして貰うためには、きちんと仕事をする人を正しく評価する人を評価する仕組みが必要だと主張する。成果を評価できる仕事と難い仕事があるのは事実で評価し難い仕事に従事する人たちの評価案として理解できるが、組織内の不満が多少緩和される程度の話で提案と言うほどの提案でもない。わが国は先進国と比べて生産性が低いと言われ続けているがどう改善していくのかの道筋がこれからは見えてこない。そもそも論からすれば、分かり難い仕事があることを前提とした議論では大きな改善は望めない、
組織はある目標に向かって役割り分担がなされるはずだが、経営者に何をどうしようという強い思い、従業員への心配りなくしては組織は活性化しない。その時その時に発生する問題への対応に明け暮れていている中で評価制度を考えても空しい。年を取るに従って経験が多くなるにしても先手勝負は出来ない。前線で戦うこと、守りを固めること、その区分け役割分担を明確にすることの方が重要なのではないか。2019.9.12 自然災害に対する脆弱性
今回の台風15号では高圧送電線の鉄塔が倒れる、町中の電信柱が倒れる、横浜など沿岸部の護岸設備が崩壊し海水が流れ込むなど思わぬ被害が続出した。知り合いの入居しているマンションでは大きなガラス窓が風圧で壊れたなど大小さまざまな被害をもたらした。これから地球温暖化の影響はじわりじわりと迫り予想もしなかったような被害が出る可能性がある。何から何まで強靭化することはできないにしても何が事故に結びつくだろうかとの見方で点検し優先順位を決め補強することが重要になってきている。企業活動においても表面的な経営成績ばかりに目を向け手抜きしていることが結果として当該企業ばかりではなく社会全体に甚大な被害を及ぼす可能性があることに思いを巡らしてもらいたいと思う。また電力の集中供給により広域停電の問題も再びクローズアップされてきた。自然エネルギーなどによる電力供給の分散化はどう進んでいるのか。電力会社の都合で考えられているだけなのではないかなど、改めて社会インフラの整備という観点から見直してもらいたいと思う。
(参考、9/14日経)
鉄塔の平均使用年数は42年、多くの鉄塔は70年代に造られたものでこれから耐用年数を越えるものがどんどん出てくる。電力以外でも建設から50年を越えるインフラは道路橋で25%、トンネルで20%、河川管理施設(水門など)で32%など老朽化の進展が著しい。
2019.9.10 台風15号と働き方改革
強烈な風台風襲来に備えて首都圏鉄道各社は8日、概ね9日10時前後までの運休を予告した。しかし運転再開から駅は大混雑した。また鉄道だけでなく道路も大渋滞した。何時間もかかって通勤する位なら企業は休暇にすれば良かったとの意見が多い。私もそう思う。働き方改革との関連で考えてみる。働き方改革は単に残業時間を減らすためでもなく、多様な働き方を可能にするなどというきれいごとの運動ではない筈だ。その前提としては時間当たり生産性を上げる、即ち賃金ベースを引き上げるような仕事にするにはどうしたら良いのかのまさに経営問題なのだ。何時間もかけて会社にたどり着き、へとへとになって通勤の苦労話をする位なら、前日になぜ年休にするとか、土日と振替にするとか決定しないのか。日本の企業は働き方改革を単なる流行語位にしか考えていないようだ。
2019.9.2 消費税の軽減税率
10/1からの消費税では消費税率10%、8%が混在することから、これに対応するためのレジの生産が間に合わないと報道されている。なぜ2%のことでこのような複雑な制度になったのか。経済的弱者への政治的配慮からだが、販売側の手間、購入者側のメリットを総合的に考えればその効果はどうみても僅かなものだ。今、日本の問題は国全体の生産性をどう上げるかではないのだろうか。政治が利害関係の調整に捉われている限りプラス成長を維持することが困難になる。
2019.8.9 2018年度GDP成長率
実質GDP成長率:+0.7%、名目GDP成長率:+0.5%
内外需別寄与度:実質外需-0.1%、内需0.8%、名目外需-0.7%、内需+1.3%
GDPデフレーター:▲0.0%、国内需要デフレーター:+0.1%
2019.8.8 2019年上半期分、経常収支(速報)
経常収支:10兆4676億円(前年同期比▲4584億円、黒字幅縮小)。
内貿易収支:2242億円(同▲1兆5616億円、内輸出▲2兆801億円、輸入▲5185億円)
内サービス収支:2316円(同+5655億円)
内第1次所得収支:10兆5923億円(同+196億円)
出典:
財務省ホームページ「国際収支状況」2019.8.5 最低賃金
厚労省の中央最低賃金審議会(厚労省の諮問機関)は7/31、19年度の最低賃金(時給)の引き上げについて、全国平均で27円引き上げ901円とすることを決めた。東京都と神奈川県では1000円を超える(j-cast news)。
わが国は世界で例を見ない人口減少、少子高齢化社会。人口が減れば需要が減少する、加えて少子高齢化により需要減が加速する。ということで人口減少以上に需要は減少する。更には常に供給>需要の関係が続くことでデフレ圧力が加わる。よって今後は、GDPを維持、あるいは縮小を最低限にして1人当たりGDP(GDP/人口=生産性)をいかに維持引き上げるかが課題になってくる。わが国は同一労働同一賃金から程遠く、男女間格差も大きく、かつ先進国の中で最低賃金が特に低い。1人当たりGDP比でみるとタイ、ブラジルなどよりさらに低い。中小企業経営者にとってはありがたいだろうがそれによって国全体の生産性も一向にあがらないという状態が続いている。
最低賃金引き上げによって生産性を引き上げる契機にして貰いたい。合理的水準であれば売価見直しの契機になっても良いと思う。金融緩和でデフレ脱却などという時代は少なくとも日本では終わっている(参考2を追加)。日本と米国は人口増加、潜在成長率で大きな差があることの影響を無視してはならない。
参考:デービッド・アトキンソン『日本人の勝算』東洋経済新報社
参考2 物価停滞の実相
2019.8.9日経新聞、経済教室に東大渡辺教授の「若年層のデフレ経験が増幅」の記事が掲載されていた。ポントはインフレ期待、言葉より経験が左右、物価上昇知らぬ若者のインフレ期待低い、意識改革へ消費税率の毎年1%上げも一案との記事だった。日銀がインフレを宣言すれば人々は物価上昇を想定して行動するであろうとの見方を踏襲したもので、消費の低迷を好況を知らない若年層に求めたに過ぎない。まだこんな議論をしているのかと正直びっくりした。率直に言えば、
なぜ経済学者は「日本を覆っている将来への不安」という大問題を真正面から向き合わおうとしないのだろうか。多分、一人一人の心持の問題は学問の対象にならないということだろうが、でもそれが現実だとすれば向き合うしかないではないか。そもそもインフレ期待だって人により違う受け止めをするはずのものを笛吹けば踊るの傲慢な思いに依拠しているに過ぎないではないか。一体経済学は何のための学問なのか。歴史的評論が限界なのではないか。あれやこれや疑問を持ちながら記事を読んだ次第である。