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米中貿易戦争の行方

米国は5月10日、中国製品への関税引き上げ第3弾分2000億ドル分に対して、関税率を10%から25%への変更を決定した。今後、米中経済の問題に止まらず、日中間の貿易にも影響が出てくだろう。さらには日米貿易交渉の結果次第だが日本経済はもっと大きな打撃を受けるかも知れない。当面の世界経済に大きな影響をもたらす貿易戦争の行方を本ブログ「世界の経済ニュース」から切り離してウォッチしていきたいと思います。
(9/1時点での米中関税引き上げ合戦の状況)
✓米関税引き上げの根拠
中国による知的財産権侵害に対抗した、米通商法301条に基づく制裁関税。
✓実施状況
米国は、中国からの輸入約5000億ドル(17年)のうち①第1弾(18年7/6発動)、産業機械、電子部品など340億ドル分に25%の追加関税、10/1~,30%に引き上げ、②第2弾(8/23発動)、半導体、化学品など160億ドル分に25%の追加関税、10/1~,30%に引き上げ、③第3弾(9/24発動)、家電、家具、食料品など2000億ドル分に年内10%追加関税、(19年5/10発動)関税率を10%から25%に引き上げ。10/1~,30%に引き上げ、及び④第4弾、対象外の約3000億ドル分(内携帯電話約450億ドル、ノートPC約380億ドルなど)への関税発動を検討するとした(9/1現在、内3243品目1100億ドルに対して9/1~,15%上乗せ、555品目1600億ドルに対して12/15~,15%上乗せ)。これに対して、中国は米国からの輸入額約1500億ドルのうち、第1弾、第2弾で同額同率の引き上げ、第3弾では600億ドル分に5~10%の対抗引き上げを実施してきた。5/10中国劉鶴副首相は協議を終え「必ず報復する」と表明している。
以下、新規掲載順。

2019.12.14 米、対中制裁緩和
米中両国は貿易交渉の第1段階の合意を巡り、13日にも文書に署名する方向で調整に入った。概要としては、第1~3弾(2018年7月~9月):家具、家電、半導体、産業機械など2500億ドル分に対しての関税率25%、および第4弾(2019年9月からスマートウォッチなど1100億ドルへの15%、12月から予定していたスマホやPCなどに対しての1600億ドル15%)のうち前者、1100億ドル分について税率引き下げするというもの。(日経)。

2019.9.1    トランプ関税以降の貿易
米国の貿易赤字額(1~6月:18年4005億ドル、19年4121億ドル
うち対中赤字は188億ドル減ったが対メキシコ、ベトナムの赤字が計200億ドル増えるなどで予想された通り米国内での内製化が進んではいない。米国の輸出も中国向けで減少していることに加えて非中国向けでも減少傾向にある。現状ではトランプ関税は空回りしている(日経)。
米国経済はやや下降気味との見方もあるが全体として活況を呈している。米中貿易戦争はどう影響しているのか、まだ影響が出ていないのか。そもそも貿易赤字は悪いことなのかどうか。もちろんGDPに占める貿易収支が大きければその影響は大きい。しかし米国のような依存度が小さな国では外国から安価な物を入手することで消費者物価を抑制しより付加価値の高い産業に労力を振り向けられるという面あがる。貿易問題はその国の産業構造によって影響度が違う。

2019.8.18   人民元相場
人民元基準値は1ドル=7人民元を僅かに越える元安が定着してきている。
トランプ大統領は元安誘導しているとして中国を為替操作国と非難しているが、8/18付日経によれば市場の需給を反映した場合の試算値は10元を越える元安のはずであるとする。即ち中国は元買い・ドル売りの為替介入をしているはずであるという(日経)。
中国からすれば、対米で輸出>>輸入の関係かつ貿易戦争で輸入減の方が大きいので元安OKなのだが、元高維持は貿易戦争の長期化を睨んでむしろ資本流出の加速要因となっている可能性もある。もちろ基準値の元安方向が強まれば資本流出は一気に加速することになると思われる。

2019.8.2 米、対中制裁第4弾、9/1発動
米トランプ大統領は1日、対中制裁第4弾(年約3000億ドル)を関税率10%で9/1に発動すると表明した。これにはスマホ、PCなどのIT製品などのほか、衣服などの一般消費財も含まれるため、米国民にとっても影響がでることになる(日経)。この戦いはどちらが持ちこたえられるかの持久戦だ。自国、他国でも比較的容易に生産でき調達できる、あるいは消費減でもしのげるかが問題だ。

2019.7.18  中国生産を移管50社超
日経新聞調査によると、中国から生産移管を検討する世界の企業は50社超。
中国米国商会が5月に実施した調査では、企業の4割が生産拠点を中国外に移転したか検討中。
中国国家統計局によると外資のモノの輸出入額は17年に約1兆8千億ドル(200兆円弱)と全体の4割を超えた。17年末時点で、外資と香港や台湾系企業を合計した都市部の雇用者数(登録ベース)は約2600万人と全体の約15%を占める。関税のかかる米国向けの生産は海外に移管する一方、中国消費者向けの製品は中国生産を維持する企業が多い。
米国際貿易委員会による19年1~5月の対米輸出額の前年同期比の増減額によると、中国、米国への輸出▲243億ドル(▲11.8%)、ベトナム+60.8億ドル(+32.1%)、台湾+40(+22.47)、韓国+27.3(+9.4)、インド+26.5(+11.6)、日本+26(+4.4)、タイ、+5.4(+4.2)。
(以上、7/18日経)

2019.7.13  2019年上半期(1~6月)の米中貿易
中国税関総署が12日発表した上半期の貿易額は次の通り。
中国→米国 1994億ドル(前年同期比▲8.1%)、米国→中国 589(▲29.9)
中国→ASEAN 1645億ドル(+7.9)、AASEAN→中国 1273億ドル(▲0.2)
中国→EU 2028億ドル(+6.0)、EU→中国 1351億ドル(+3.3)
(以上7/13日経)
上記3国・地域における中国の輸出は米国向けで減少したものの全体では増加。
一方、輸入は米国からの輸入が約3割減少したことで全体としても大幅減少。
現段階では数字の上では中国の影響は軽微、米国側の輸出減だけが目立つ。結局、米国が輸入している品目を米国内で生産できなければ米国の対中貿易収支はむしろ悪化することになる。もしかしたら迂回貿易など実質、中国→米国の貿易額が減少しているのかどうか、正確には分からない。

2019.7.6   米中貿易額の変化
米中貿易戦争が始まって丁度1年、貿易額にどのような影響がでているのか。日経新聞によると、中国の対米輸出額合計で約180億ドル減(中国全体の輸出の約3%の水準)、一方、米国の対中国では約230億ドル減(同約15%)。マイナスの影響は中国より米国の方が大きかった。但し中国の対米輸出減が顕著になったのは18年11月から。19年4月でみると中国→米国輸出額が前年同月比-40億ドル、一方、米国→中国は-20億ドル。最近のマイナスの影響としては中国の方が大きいことになる。米中貿易戦争後、輸出を伸ばした国についても報じていて、カナダ→米国向けで+66億ドル(18年7月~19年4月)(主として機械)、中国向け+70億ドル(穀物)、ロシア→中国+124億ドル(燃料)、サウジ→中国+126億ドル(燃料)、ブラジル→中国+175億ドル(穀物)、韓国→米国+74億ドル(機械)、ベトナム→米国+82億ドル(電気機械)。今後問題になるのは迂回貿易などであろう。(7/6日経)

2019.7.2   米、対中外交で波紋
トランプ大統領は米中首脳会談で貿易協議の再開で合意したが、制裁緩和への道筋に関して基本的合意無きままの合意であったため米与野党で反発が広がっている(日経)。

2019.6.29  G20、米中会談
注目された米中会談で米の追加関税第4弾はひとまず回避され先送りされた。また米からファーウエイへの部品販売は安全保障上の問題にならない限り販売を認めるとした。

2019.6.27  スマホ部品の地域依存度
主要機種の部品金額と比率
中国ファーウエイ(P30 Pro:部品金額363.83ドル、部品数1631)
内、中国38.1%、日本23.0、韓国7.7、台湾7.9、米国16.3  中国除き54.9%
米アップル(iPhone XS Max、438.2ドル、1756)
内、中国0.3%、日本13.5、韓国32.9、台湾2.1、米国30.7  中国除き79.2%
出典:フォーマルハウト調べ、6/27日経

2019.6.20   改めて考えてみる貿易戦争の基礎理論
 Y=C+G+I+(EX-IM) Y:GDP、C:個人消費、G:政府消費、I:投資、EX:輸出、IM:輸入
①貯蓄投資バランス論 (EX-IM)=(Y-C-G)-I=貯蓄-投資
 日米貿易摩擦時において日本は米国の貯蓄不足、過剰消費が原因として指摘していた。
 但し米国が双子の赤字でも米国にマネーがまた還流する流れがあるからこそ世界経済は発展して
 きたとも言える。もしこの流れがなくなれば世界経済は激変することになる。
 一方、中国は共産党指導下で投資主導の経済運営をせざるを得ないことから輸出主導の経済運営
 をせざるを得ないのだと説明される。
②ナバロ論 (EX-IM)=Y-(C+G+I)  貿易赤字が増大すれば成長が阻害される
 トランプ大統領が貿易赤字を問題視する根拠のようだ。
 ただ米国はこれまで貿易立国ではなく、金融立国、IT立国を目指していたのではないか。
 そもそも米国内であらかたの消費財を生産できるのだろうか。
 ①②とも(内)を一定としての理屈であり、しかも恒等式であって因果関係はないはずだ。
②比較優位論 自由貿易を良しとする根拠として持ち出される。
 概念として良くわかるものの、各国の産業政策との整合性、容易ならざる産業転換に直面する。
 二国間で貿易収支が赤字、黒字の関係でも多国間で調整されるとして、それ以上の詮索はしてい
 ない。域内で貿易収支がプラス、マイナス帳尻が会えば良いが現在の世界貿易を見れば、中国の
 大きな黒字と米国の大きな赤字だけが鮮明になる。どう考えれば良いかが問題だ。

2019.6.12   中国、人民元安化か
中国が人民元安を対米交渉のカードに使い始めた(日経)。
まず最近の推移から。18年4月頃:1USD≒6.3人民元台、19年4月頃:6.7元台、現在6.9元台。
現状では貿易戦争の影響がまだ出ていないのか中国の対米貿易黒字は輸入減で増。単純に考えれば元高の方向だが、実際には人民元安で動いている。貿易戦争の影響を緩和するためにドル売り介入をしている、或いは静かに進めている金購入などの影響かも知れない。ただ一方的な元安は資本流出とも絡みそう話は簡単ではない。この戦いの性格は持久戦だ。予断はできない。

2019.6.10   中国、対米貿易黒字増
中国税関総署が10日発表した5月の貿易統計(ドル建て)によると、米国向け輸出は前年同月比4%減の376億ドルだった(4月の13%減からは縮小)。一方輸入は同27%減の107億ドルの大幅減。結果、対米貿易黒字は9%強の大幅な伸びとなった。(日経)

2019.6.1   中国、関税引き上げ
中国政府は報復関税第3弾として、従来10%としたLNG、メタノール、ワイン、木材などに6/1から25%に引き上げ(5,10,20,最大25の4段階)輸入制限すると発表した(日経)。

2019.6.1   中国からの生産移転
米国際貿易委員会や国際貿易センターのデータを照らし合わせた結果、19年1~3月期の中国の対米輸出は前年同期比152億ドル(1.7兆円弱、12%)減少。制裁対象の主要4品目(機械と部品、電気機器と部品、家具、自動車とと部品)を見ると輸出額は622.1億ドルで前年同期比116.1億ドル減(▲15.7%)。一方、中国からベトナム、台湾、メキシコへの輸出、それらの国々から米国への輸出が急増。中国からの生産移管、迂回貿易による産地偽装が想定される。産地偽装については新たな火種になりそうである(日経)。「上に政策あれば、下に対策あり」

2019.5.30   中国、レアアースで禁輸示唆
中国はEVやデジタル家電の部材に欠かせないレアアース(セリウム、ランタン、ネオジウムなど)の禁輸をちらつかせ米国へのけん制を強めている。中国は世界生産の約7割、米国は輸入の8割を中国に依存している。かつて鄧小平は「中東に石油があり、中国にレアアースがある」と述べレアアースが戦略物資であると見定めた。(日経)

2019.5.28  日米首脳会談
国賓として来日中のトランプ大統領、安倍首相は27日、トップ会談後、共同記者会見した。
トランプ大統領は、日米貿易交渉に関係し「8月に発表がある」「日米関係はTPPと関係ない」と述べた。日本の選挙前に安倍首相に迷惑をかけたくないとの配慮という貸をつくるとともに、TPPとの関係も全くないと厳しく突き放した。今回の訪日は旅行かと米国メディアに揶揄される中で儀式と仕事は全く別問題とアピールしたかったのかも知れないが米国の対中関係もあり予断できない。

2019.5.16  米ファーウェイへの輸出禁止
米商務省は15日、華為技術(ファーウエイ)に対する米国製ハイテク部品などの事実上の禁輸措置を発動した。ファーウエイの海外からの調達は92社で年670億ドル、内米国からは33社で100億ドルといわれる(日経)。日本企業との結びつきでは、約100社から部品などを調達しており、18年の日本での調達額は約7309億円。19年は約8800億円になる見込み(5.24付日経)
※納入社数はファーウエイとの直接取引社数なのか2次取引を含めた社数なのか不明。

2019.5.11  貿易摩擦、痛み中国に
日経5/11付に表題のタイトルで記事があった。その要点を下記に。
米追加関税の発動後も米国の消費者物価の伸び率は安定していて19年4月で対前年同月比2%程度、関税引き上げ直前18年6月の2.9%をむしろ下回る。一方、中国の生産者物価は荒い動きを示していて、18年6月は4.7%であったのに対して、19年4月は0.9%に低下。この間の対ドル人民元相場はほぼ同水準だったから生産者物価上昇率は明らかに低下している。また関税引き上げ対象の中国からの輸入品の7割は値上げしにくいとの調査結果もある(価格変動で需要が大きく変動する価格弾力性が大きい商品)。これらより、関税を引き上げても消費者物価が上昇しないのは「米国が制裁対象とする中国からの輸入品は独自性が乏しく、関税を課されても値上げしにくいものが7割を占めるから」と結論付けている。以下、筆者感想。
現状は記事の通りかも知れないが、もし中国企業が値引き対応に耐え切れなくなり値上げを求めた場合でも状況が変わらないのかどうか、言い方を変えれば中国からの輸入に頼らなくても簡単に新たな調達先が出現するのかどうか、もう少し長いレンジで様子を見なければ断定できないのではないか。このことは全面関税引き上げの第4弾とも関係する。現在制裁から外れている中国で生産されて米国に輸入されている「iPhone」などについてだ。中国への工場進出にあたり(受託生産の鴻海は)地方政府などから巨額の支援を受けていることからすれば簡単に中国を離れられないという事情と部品調達の観点から生産拠点を簡単に変えられないため、米国は除外対象のままで行くと思うが、もしこうした商品にまで関税引き上げを拡大した場合、今度は米国側に物価上昇というかたちで確実に跳ね返ってくることになるだろう。今後の問題は米中がどこまで持ちこたえられるかの持久戦になりそうだ。結論を急いだ方が負けとなる。
by bonjinan | 2019-05-11 12:36 | 政治・経済