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AIの進化が社会にもたらす影響(No.1)

AI(人工知能)、ロボットが進化すると社会をどのように変えてしまうのか、最近頻繁に話題とされるようになりました。生産性が向上することで労働人口が減ってもGDPを維持ないし高めることができるといった明るい見方の一方、省力化が進むことよって雇用はむしろ減少するといった深刻な見方もある。以下、諸説を参考に新しい時代を想像していきたい思います。
以下、新規記載順。

2019.7.7   
7/7以降の新規掲載分は、AIの進化が社会にもたらす影響(No.2)です。

2019.6.13  米、GAFA規制新解釈
米司法省は11日、反トラスト法(日本の独禁法に相当)の新たな解釈を公表した。「消費者の不利益」を幅広くとらえ、競合企業を排除する買収など競争を妨げる行為も違反の判断材料とするというもの(日経)。ようやく大きいことはいいことだから大きくなり過ぎることの弊害に目が向けられつつあるということで良いことだ。

2019.6.3   ソニー、デジタル人材初任給優遇
ソニーはAIなど先端技術領域で高い能力を持つ新入社員には、2019年度から年間給与を最大2割増しとするという。対象は新入社員の5%程度。(日経) かつて日本企業は組織力という無形の競争力(経済でいうTFP)を有していた。大きな目標がないがゆえに何とか打開したいということでこうした制度を採り入れるとすれば社員間に分断がおき結果として生産性を落とす可能性がある。そもそも皆が納得する成果評価ができているのかどうかが問題になるだろう。

2019.6.2   AI先端人材の決定的不足
カナダのAIスタートアップ「エレメントAI」が2018年中に日本を含む21の国際学会で発表された論文から著者の数や経歴を調査しAIのトップ人材の分布を割り出した。以下、その概要。
①世界のトップ級人材は2万2400人。うち米国が1万295人、中国2525人、英国1475人、以下、ドイツ、カナダ、日本905人(全体に占める割合3.6%)の順。
②日本における課題。海外で専門教育を受けたグローバル人材が少なく、外国で学び自国企業で働く比率も17%で主要17か国・地域で下から2番目。女性の比率は最低で世界平均18%の半分の9%。(シンガポール、台湾、オーストラリア、中国は、G人材で30~40%、女性比率でも20%以上)
(以上日経)
なぜAI人材は不足したままなのか?何年も前から指摘されているが一向に改善しない。その大きな原因として3つある。第1に企業において、新しい分野に挑戦する勇気、気迫がなく保守的になっていて、経営管理者が理解できない領域には踏み出そうとしないこと、結局、自分の代わりになる使いやすい人間しか採用、登用しないこと、その典型的な職種が総合職(但し幸運にも人によってキャリアをうまく積み重ねることもある。が一般にはということで挙げた)、第2は大学教育において、企業と全く同じで、新しい分野を教えられる学位保持者がいないなど古いルールに安住して、講座を大胆に変更しようとしないこと、結局、学部学科名だけ流行りの名前に変えているだけで中身が変わらないこと、第3は所管官庁、政府において、専門知識がある人材がいなく、一般に言われていることを課題として列挙するだけ。政策として本腰を入れて動くまでの深い見識がないために行動に移せないことなどである。要は古いルールに則っていては新しい時代に踏み込めないということである。

2019.5.30  デジタル法人課税
G20がデジタル経済に対応する新たな法人課税の基本方針で一致する見通しとなった。G20は来月福岡市で開く財務省・中央銀行総裁会議でまず税収移転に向けた基本方針で一致し2020年に最終合意を目指す。新たなルールでは個人データが生み出す収益やブランド力への貢献度を一定の計算式ではじき出し世界全体での利益を計算。次に国ごとの売上高や利用者数のような指標に基づいて各国が税収を分け合う仕組みを軸にして検討を進める。これまでの国際的な課税ルールでは支店や工場など物理的な拠点に基づく課税であったが新ルールではデジタルサービスなどの利用者を物理的拠点と同じように扱うことで税額を計算することになる。(日経)

2019.5.14  ネガティブ・ケイパビリティからの考察
2018.6.25の項に追加。

2019.4.7 ITの進化する社会はどこに向かうのか
NHKで放送された「アメリカ vs. 中国 ハイテク覇権をめぐる攻防」が放送された。かつての冷戦時代のような対立、世界の分断が起こるのだろうか。
国家単位でみた分断という見方もあるだろうが、問題は一般論として国に限らず企業も規模を大きくすることが第一目標とされることによる弊害だ。情報については情報コントロールされる可能性、ハイテク製品については市場が独占化されることで競争環境が崩壊し、結果として新技術の提案が少なくなってしまうことだ。市場寡占化に何らかの歯止めが必要なのは確か。

2019.3.15  仮想通貨、呼称は「暗号資産」
政府は15日の閣議で、金融資金取引法と資金決済法改正案で、仮想通貨の表現を国際標準に統一し「暗号資産」に変えるほか、サイバー攻撃による資金流出に備えて顧客に弁済するための原資を交換業者に義務付けるとした。(日経)

2018.12.28  デジタル革新と経済成長との関係
富士通総研HPオピニオンに早川英男氏の「デジタル革新とマクロ経済、−経済厚生、GDP、長期停滞−」という記事が掲載されている。浅学を顧みず意見を述べたいと思う。
(早川氏の説)
GDPは会計的な概念であり客観的に計測できるが人々の満足度=効用を直接的に測るものではない。経済的には、経済成長はあくまで効用=経済厚生を基に測られるべきである。デジタルサービス(以下、bit)と伝統的な財・サービス(以下、atom)を需要・供給曲線で比較すれば、bitの消費者余剰はatomのそれと比べて極めて大きい一方、GDP部分が小さい。この関係から、bitはGDPが小さい上に消費者余剰をマネタライズできないため、経済成長を停滞させているとの誤解を招いている。だが経済成長は本来、経済厚生面から論ずべきものであり、「GDP+消費者余剰」で考えた方が良く、bitのそれはatomと比べて変わらなく、bitは経済成長を阻害しているとの見方は的外れである。
(筆者の疑問)
デジタルサービス(bit)と伝統的な財・サービス(atom)の供給曲線の違いについてはコスト構造が分かれば描けるが、需要曲線については見方によって変わってくる。早川氏はWTPの推計例をあげ、bitの消費者余剰が大きいとしている。需要曲線は定義からすればその価格で実際に購入しても良いと考える価格だが、他の消費支出を削ってでも購入して良いと考える価格なのか、その位の価格価値があるだろうという価格なのか、どう考えるかによってまるで話は変わってしまう。早川氏の紹介しているWTPの推計例では本当のところ分からない。Googleの検索など多くの無償サービスが有償化しても成り立つのであれば消費者余剰といえるだろうがそれは分からない。Aというサービスは無償、Bというサービスは有償というビジネスはそもそも一物一価の大原則から離れたもので需要供給曲線で考察することはできないとの素朴な疑問とともに、消費者サイドに立って考えれば、そのデジタルサービスを受けるために、デジタル機器への支出、通信サービスへの支出などかなりの支出があって成り立っているもので、Aという無償のサービスだけ取り上げて議論しても意味がないのではないかと思う。

(追加:2019.2.27日経、Neo economy)
「いくらもらえたらLINEを1年間やめますか」、東大生が卒論をまとめるため約1200人にこの質問をぶつけたとこと結果は「1人当たり300万円」だったという。先のWTPの推計例のようなものだが筆者はお金に困らない人の遊びに過ぎない研究?と思う。日本におけるLINE利用者7900万人(18年末)。そもそも1人当たり300万円×7900万人=237兆円。日本人はGDPの約半分にも相当する消費者余剰、経済的厚生を受けていると言われても誰も実感できないだろうしそれで満足などとは思わないだろう。現実離れした議論だ。

2018.12.19  EU、AIの倫理指針案
EUの欧州委員会は18日、AIの倫理指針案(AI開発のための10の必要条件)を公表した。
①事故が起きたときの責任の所在、②データの適切な利用、③障害の有無など利用に影響せず、④人間による監視の確保、⑤偏見の創出や拡大の回避、⑥AIによる判断誘導リスクの周知、⑦EUの個人情報保護ルールの順守、⑧外部からの攻撃などへの耐性、⑨リスク評価の仕組みの整備、⑩AIによる判断基準などの開示、以上、意見公募を経て修正し3月に最終的な指針をまとめる(日経)。

2018.11.29  GAFAほかの18年7~9月期決算
米NY証券取引所とナスダックに上場する企業について、7-9月期の純利益を並べた結果。
1位バークシャー・ハザウエイ185億ドル(前年同期比4.6倍)、2位アップル141(32)、3位アルファベット91(37)、4位マイクロソフト88(34)、5位JPモルガン・チェース79(27)、10位フェイスブック51(9)、・・・(日経)

2018.11.27  AIに関する原則
政府がまとめたAIに関する7つの原則が明らかになった。AIが物事を判断する際、その企業に説明責任を求めるのが柱だ。①AIは人間の基本的人権を侵さない、②誰もがAIを利用できるよう教育を充実、③個人情報を慎重管理、④AIのセキュリティーの確保、⑤公正な競争環境の維持、⑥AIを利用した企業に決定過程の説明責任、⑦国境を越えてデータを利用できる環境を整備、以上(日経)。AIは確率統計の世界、説明責任すなわち答えの論拠が引きだせるのか。人間の基本的人権には労働があったのではないかなど良く分からない部分も多い。

2018.9.8   AI投信、学習中
好成績を期待されたAIを用いた株式運用成績がふるわない。日経平均株価が年初来で2%安なのに対して、AIが運用する日本株投信の各社平均はマイナス8%(-5%~-10%)。(9/8日)

2018.7.8   人手不足、欧米でも壁
表題タイトルの記事が日経7/8付に掲載されていた。人手不足なのに賃金伸びずは、特にリーマンショック以降における先進国共通の課題だという。先進国全体では10年ぶり需要が供給を上回るのになぜ賃金上昇は1%程度なのか、記事では働き手の不足が経済の制約になり、成長への期待が下がっているためだという(日経)。そうかも知れないが無策、無能を言い訳しているようである。日本では、少子高齢化、団塊世代の退職は以前から予測されていた。人手が足りなければなぜ機械化を考えないのか。機械化する技術がないのか、機械化できないほど利益の低い仕事ばかりになっているのか、そそもそ人手不足はテンポラリーな現象で、経済はもっと低迷すると思っているのではないかなどの疑問が湧く。先が読めない状況はこれからますます強まるだろう。経営者が労働力を変動費だと考える風潮が強いからとすれば、賃金上昇はおろか、機械化も働き方改革もできないまま活力を失っていくことになる。最近、玄田有史編『人手不足なのになぜ賃金が上がらないのか』慶応義塾出版を読んだ。諸説展開されているがAIが人の仕事を奪うと言われている時代に、機械化の影響を論じた著者がいないのが不満である。

2018.6.25   AI人材不足
某研究機関がまとめたAI人材白書によると、世界の企業が必要としているAI人材は約100万人。これに対して実際に活動している専門人材は30万人。関連する教育機関は世界に約370あるが、排出できる人材は年2万人。人材確保は国境を越える。世界で生成されるデータ量は25年に163兆GB、16年の10倍に膨らむ。データサイエンティストと呼ばれるデータ分析家の平均年収はFBで4500万円、IBMですら人材獲得に苦労している。経産省によると、IT人材の平均年収は米国の約1200万円(全産業平均の2.4倍)に対して日本は約600万円(同1.7倍)、中国やインドは7~9倍。日本はAI研究で修士課程を終える学生は年2800人しかいない。(日経)

 新井紀子『AI VS. 教科書が読めない子どもたち』東洋経済新報社では、「これまでの教育はAIで代替できる人材の養成だった」と教育を原点から見直そうと警鐘を鳴らす。難しいそうな数学や物理、化学など理系分野を嫌い、楽をして安定した給与、あるいは高給が得られる職業を目指す若者が増えたこととも符合する。経営トップも自身も、特に大企業においては専門分野で成果を挙げたというより人間関係などほかの要因でトップに上り詰めた人が多いはず。専門職の処遇、育成の重要性を真剣に考えている人は極めて少ない。根が深い問題なのだ。最後に新井のもう一つの主張、「ディープラーニングの基本原理は統計と確率。論理的な思考ができない。ディープラーニングに基盤を置くAIに過剰な期待をすべきではない」という。確かに統計・確率の世界は理詰めの世界とは違う。しかしそれが通じる世界もあり、またツールとして役立つことも多いはず。例えば工業分野では、理論的根拠がはっきりしていなくてもある条件下では極めて再現性が高く、実際の作業として適用されることは良くあることだ。また壁に突き当たった場合、まずやってみて、結果が良ければその理由を考えるという方法論もある。要は応用する対象がどうかということではないか。

(追加)本項の最後に、AIをネガティブ・ケイパビリティの観点から考えてみようと思います。
論理的思考は新井氏に言われるまでもなく考えるための基本でり、教育の基本であることは間違いない。しかし現実の社会問題では思想、価値観の違いから簡単には答を出せない案件がたくさんある。むしろ分かっていないことは分かっていないとして宿題として残すことを教えることこそが教育なのではないかとも思える。大人の世界にあっては、むしろ答えの出せないような難問に対して安易な答えを出さない胆力、或いは答を出せないことが常にあることを前提として社会問題を考え続けることこそ重要になっているのではないか。このことは、帚木蓬生『ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力』朝日選書に書かれており「寛容」「共感」がキーワードになっている。寛容、共感はAI、新井氏の指摘する論理的思考からは出てこない概念である。

2018.6.17   見事に外れたケインズの予測
「1930年、ケインズは論文『われわれの孫たちにとっての経済的可能性』で、技術進歩がもたらすであろう巨大な恩恵について語って、20世紀の終りになると、われわれは週15時間程度だけ働くようになっているはずだと予言しました」。彼が予期しえなかったのは、人間の競争本能でした。
(参考:ロナルド・ドーア『働くということ』中公新書2005.4)
 最近、良く売れている、井上智洋『人工知能と経済の未来』文春新書でもこの楽観的展望を基調として書かれている。純粋機械化経済では全人口の約1割しか働かない社会が訪れる。この場合、潜在成長率が上昇しても需要がなければ経済は成長することができなくなるので、ベーシックインカムの導入が必要になるとしている(但し、原資をどう考えるかについては現状での経済環境で論じているだけで、1割しか働かない純粋機械化経済下ではどうするのかについては言及されていない。最後にバタイユの過剰性の経済学、すなわち放蕩は美徳とする説を持ち出し、原資論議を無意味な議論として却下しているために理路整然と理解しようとしても理解できなくなる)。

2018.6.6  KIAIよりAI、根性だけでは戦えない
日経6/6付「ニッポンの革新力、土壌を鍛えろ3」に表題の見出しが躍っていた。
名大・天野教授は「1000回の実験が2,3回で終わる」とAIの威力に驚き研究に採り入れたという。
一方で、同じ紙面に、安倍首相は5日の経済財政諮問会議で「外国人就労拡大を表明」、新たな在留資格を設け、原則認めていなかった単純労働に門戸を開き、25年までに50万人超の就業を目指すとする。この二つに記事からわが国の政策に何か違和感を感じる。AIは人口減少にもっとも有効な手段ではなかったのか。総労働力を増やすことでしか経済規模を維持できないのだとすれば生産性は一向に上がらないということになる。何を優先するか、その優先順位こそ重要である

2018.5.26   EUで「一般データ保護規則」が施行
EUは25日、個人情報の保護を大幅に強化する「一般データ保護規則」(GDPR)が施行された。個人情報の域外への持ち出しが原則禁じられる。違反すれば最大で世界売上高の4%または2000万ユーロ(約26億円)の罰金が科せられる。(Sankeibiz)

2018.4.27   EU、プラットフォーマーへの規制強化
欧州委員会は、グーグル、アマゾン、フェイスブックなどIT分野の米巨人企業への監視を強める。具体的には、対企業で不公正・一方的な取引を規制すること(検索ランキングの基準開示など)、対個人でフェイク・ニュース対策として自主規制することなど(以上、日経)。IT企業の寡占化については、ビックデータの利用を占有することによる弊害と技術革新を阻害するとの意見が併存する。しかし何のための技術革新なのかは常に問うべき課題だ。

2018.3.30   AIとどう付き合うか
2030年汎用AI、45年人間の知性を超える(シュンギラリティ)と言われるAI。
何がどう変わるかという受け身的思考からAIを利用しどう住みやすい社会に変革させていくのか考え議論することがより重要だ。目下、AIが人間の職業をどこまで奪うかが話題とされるがそもそも今人間のしている仕事は人間らしい仕事なのかどうか。生活のためとしてつまらない仕事をしていないか、もっと楽しく仕事にするにはどうしたら良いか。働き方改革とはこういうことを考えることではないか。(参考:伊藤穣一ほか『教養としてのテクノロジー』NHK出版新書)

2018.2.12   ITビック5若い企業をのむ
2/12日経新聞より。「米ITの巨人が強すぎて、新しい企業が育たない」。スタートアップの聖地、米国でそんな問題意識が強まってきた」という。
ITビッグ5は次々と企業を買収:2000年以降の累計は600件、買収額約20兆円
(添付図表からするとアルファベット200社超、マイクロソフト約160社、アップル、フェイスブック、アマゾン各100社弱)。米の開業率:米商務省のデータ、2015年時点で創業1年未満の若い企業は41万4000社。直近のピーク06年から26%減、米企業全体に占める比率を示す開業率は8.1%、金融危機前は10%を超え、1977年では16%を超えていた。ITビック5の時価総額(2/9時点):アップル7936億ドル、アルファベット7241、MS6789、アマゾン6485、FB5115。PCに代って主役となったスマホでもグーグルのアンドロイド、アップルのiOSが2大基本ソフトとなっている。AIの世界でもこの渦に巻き込まれそうな気がする。

2017.11.1   人工知能の国別論文数
日経新聞が学術出版大手のエルゼビア(オランダ)と共同で、2万以上の学術誌を収めたDBから人工知能に関する研究論文の国別動向に調べた。その結果によると、10年の実績では、1位中国3013、2位米国2110、日本は極めて低位。30年での予測でも1位米国9223、2位中国7975、インド7933、以下、英国、ドイツ、フランス、日本1868と続き、トップグループの1/4以下としている(以上日経)。わが国は製造業で世界第2位の経済大国にのし上がった経験があるからだろうか、製造業がほとんど敗退しつつある中でも”ものづくり”にこだわり続けている。工学系の大学教育でもそうだ。日本人の性格に合っているからだろうが次世代のことをことを考えると、現時点ではバーチャルともみえるこうした世界をまじめに研究する研究者を要請していく必要があるだろう。

2017.10.29  世界低成長 短期か長期か
こんな記事が日経1面に載っていた。記事が指摘するように世界経済は緩やかな回復が続いているものの経済の本当の実力とされる世界の潜在成長率は一向に上がっていない。07年と17年の潜在成長率を比較すると、OECD平均2.1%→1.5%、日本は0.5%→0.7%と僅かに上昇したものの欧米に比べ半分以下で低位のまま。その理由として記事は金融危機後に企業が設備投資を絞り込んだ後遺症という短期的ダメージと長期的低下要因として世界のデジタル経済化という構造変化を指摘する。IT企業は旧来の製造業のように資本蓄積を必要としないことと、デジタル化でサービスが安くなって付加価値が低くなる分成長率が高まりにくいとしている。近年、従来の経済知識では理解できないようなことがしばしば起こっている。景気回復策としての金融緩和もなかなか目標とする効果が表れていないなど経済理論(その応用と適用)を根底から見直さなければならないという人も多い。

2017.8.26  202Χ年、人余り再び?
①8/26日経新聞によると、「人手不足でほぼ完全雇用とされる日本経済。だが企業が一斉に人工知能(AI)導入などの省力化投資に動き始めたことで次第に余剰人員が膨らみ、2020年代には完全失業率が再び上昇に転じるとの観測がでている」。
(現状)
✓6月の完全失業率3%、有効求人倍率1.51倍(但し一般事務職0.31)
✓職種別有効求人倍率:介護サービス、飲食物調理3倍台、自動車運転、商品販売2倍台、営業1.5
 倍台、機械組み立て、会計事務、一般事務1倍以下(厚労省)
✓産業用ロボットの受注(内閣府):17年4~6月1717億円(前年同期比49%増)
✓IT投資(日本政策投資銀行調査):大企業の17年度情報化投資5582億円(前年度比28%増)、
 設備投資全体の8.2%
(リクルートワークス研究所試算)
✓機械による職代替で完全失業率は25年に最大5.8%(過去最大の09年7月を超える水準)
✓社内で抱える余剰人員も25年時点で最大497万人(15年の401万人から約100万人増)
(補足)
②井上智洋『人口知能と経済の未来-2030年雇用大崩壊』文春新書によれば、
「AIが人類並みの知性を持ったら労働者は飢えて死ぬかも?だから新時代の社会保障にはBI(ベーシックインカム)を導入すべし!」。本書では2030年を雇用大崩壊の時期と予測する。

2017.4.23  ロボットはどこまで人の仕事を代替できるか?
生産年齢人口が50年後に4割減る見込みの日本、最近、AI技術の進展で新たな期待と雇用への不安が起こっている。今ある業務が自動化される割合を国別に比較すると、日本はロボットの導入余地が主要国の中で最も大きいという。マッキンゼーの試算によると、自動化が可能な業務の割合は日本が55%、米国の46%、欧州の47%、農業や製造業など人手に頼る職業の比重が大きい中国51%、インド52%をも上回るという。日本は先進国と言いながらロボットに適した資料作成など単純業務で人手に頼っていると分析する。もちろんすべてがロボット化できるわけではない。マッキンゼー社データ(820種、2069業務)を日経、FTが共同調査、分析した結果によると、完全自動化できる職業は全体の5%未満にとどまり、代替できる業務の割合ではトラック運転手64.6%、カウンセラー10.5%、医師29.2%、旅行ガイド36.0%となっている(以上、日経)。問題は日本が、特に生産性の低いサービス産業部門において、特にAI化で積極果敢に挑戦しているかどうかだ。外国人労働者で凌ぐという政策からは何も見えてこない。

2017.1.10  AIが雇用を奪う?
三菱総研の試算によれば、AIが普及すると、2030年には雇用は新たに500万人の仕事が創出される一方で740万人の仕事がなくなり、差し引き240万人の減少になる。目立って増減するのは、AIやロボット関連の専門職や技術職で270万人の増加する一方、工場など生産現場で150万人減、一般職で64万人減、販売で65万人減、建設などで67万人減となる。GDPについては、AIの進歩に伴う自動運転車の普及や、個人の健康状態や行動履歴といった記録を活用する新たな産業が原動力になり、GDP成長率を年率0.6%押し上げ、GDPは技術進歩がない場合に比べ50兆円増、595兆円になると予測した。(産経ニュース)
(補足)
人間の脳にある神経細胞数は約1000億個、最新PC(COREi7)のトランジスタ数は約10億個。両者に2桁の違いがあるが、ムーアの法則によれば集積回路のトランジスタ数は1.5年で2倍になると言われているから約10年で集積回路のトランジスタ数は神経細胞数相当になる。もっといえばすでにクラウドコンピュータの時代に入っているから、使い方次第ではもう人間の脳相当の使い方ができることを示唆している。AIの進化を侮ってはいけない時代にあると言える。今でもそうだが、問題なのはこうした時代に追従できない産業、人間をどう救済していくかになるであろう。
by bonjinan | 2019-06-13 09:51 | 文化・歴史