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琳派展&曜変天目茶碗@静嘉堂文庫美術館(2015年)

静嘉堂文庫美術館(世田谷区岡本)でリニューアルオープン展「宗達・光琳・抱一をめぐる美の世界、金銀の系譜」が開かれています(2015.10.31~12.23)。これまで観てこなかった琳派の絵を楽しむことができました。以下、代表作を振り返ってみたいと思います。
①俵屋宗達≪源氏物語関屋・澪標図屏風≫(国宝、六曲一双、紙本金地着色、江戸17世紀)
右隻は『源氏物語』16帖「関屋」、源氏が栄達のお礼参りに石山寺に参詣した際、逢坂の関で空蝉と偶然に出会う場面、左隻は同14帖「澪標」で住吉明神にお礼参りした際、明石の君の乗る舟と出会う場面。特徴は右隻、左隻とも主役を描がいていないこと。物語をより詩情性豊かなものにしている。右隻、左隻で山と海、直線と曲線など対比的な表現をしていること。特に左隻の曲線を描く白い砂浜は印象的。大和絵の古典的画題でありながら伝統の枠にとらわれない自由な精神が感じられる。今回の公開は3年の修復を経ての公開。修復過程も説明されている。なお修復過程で右隻第6扇下に紅葉した葉が舞い落ちている様子が描かれていることも判明、修復後の絵では隠れていた部分も観ることができる。
②伝尾形光琳≪鶴鹿図屏風≫(二曲一双、紙本金地着色、江戸18世紀)
右隻に桜と鹿を描き春の風景、左隻に紅葉と鶴で秋の風景を描く。金地に柔らかな曲線で描くさまは華麗であり、①と並び京琳派の雅さを代表するような絵である。
③酒井抱一≪波図屏風≫(六曲一双、紙本銀地墨着色、江戸19世紀)
師と仰いだ尾形光琳の≪波濤図屏風≫(二曲一隻、金地、現メトロポリタン美術館蔵)に着想を得て描いたとされる。葛飾北斎≪富嶽三十六景・神奈川沖浪裏≫(江戸19世紀)に描かれたような大波ではなく、夜の月明かりに照らされた海なのであろう。どこか静かな感じさえする。しかしゆるやかではあるが六曲一双の大画面でみる波には力強さがある。じっと眺めていたくなる絵である。実は今回の展示会を観るに当たり最も気になっていた作品であった。銀地ならば時間が経てば酸化して黒ずんで墨絵が分からなくなってしまうはず。このことは抱一も承知していた上で描いたはずと。でも実際に観てみると銀色に輝いてはいないまでもむしろ落ち着いた雰囲気を醸し出しているではないか。描かれた時と同じではないかと思えてきた。学芸員さんによると銀箔の上に何かコーティングされているのではないかとのことだった。そうかも知れない。
ほか④尾形光琳≪立葵図≫(紙本墨画淡彩)、⑤酒井抱一≪絵手鑑≫(抱一が幅広く画風を学んでいた頃の画帖)⑥鈴木其一≪月下三美人図≫、宗達が率いる絵屋「俵屋」の商標的印章「伊年」印が押された≪四季草花図屏風≫などが印象に残る。
(注)本ブログタイトル「琳派展」は公式タイトルではありません。

補足:建窯≪曜変天目茶碗(稲葉天目)≫(国宝、南宋12~13世紀)のこと
漆黒の茶碗の内側に星のような斑紋が散らばり光の当たり具合によって虹色に輝く不思議な茶碗。世界で3点しかないと言われる器の一つ。改めて見てみると斑紋は全体として藍色だが光により不思議な光彩を放つ。解説パネルに「構造色」と書かれていた。構造色は玉虫や孔雀の羽の輝きと同じく、色素ではなく光の波長レベル(紫:約380~赤:780nm)の微細構造がもたらす光の干渉で生じる色。ただどのような微細構造が隠されているのかまったく分からない。世界中で破片も発見されておらず誰も分解調査しているわけではないので、本当のことは分からない。偶然にできたものなのか、意図して造られたものなのか不思議な茶碗である。

参考1:静嘉堂文庫美術館ホームページ、上記展示会リーフレット
参考2:2015.9.8ブログ記事「琳派400年記念展」
by bonjinan | 2015-11-06 10:17 | 文化・歴史