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日本版スチュワードシップ・コード

6月10日付、日経夕刊が「日本版スチュワードシップ・コード」を採りあげている。日経の解説によると「スチュワードシップ・コードとは企業の株式を保有する機関投資家向けに定められた行動規範。資産運用の委託者の利益を実現すると同時に、投資先企業の長期的な成長を経済全体の発展につなげるため、機関投資家は積極的な役割を果たすべきだとの理念に基づく。英国で2010年に導入された。」とある。かつて何かと不祥事を起こす会社が出てくることから、株式会社は誰のものかの議論の延長として、株主等が外部から経営者を規律付けようと「コーポレート・ガバナンス」の考えが強まり、現在、主要各社では監督と執行の分離(執行役員制の導入)、外部役員、外部監査役の選任など行われるとともに、会社の透明性を高めるためとして法令により、内部統制の徹底なども求めてきた。しかし実態をみると、日本の優良会社には、社会への貢献と自らの存続を考え、会社のあるべき姿を説いた社是、社訓のようなものがあり、これが経営者のみならず社員までも律してきたから、米国流コーポレート・ガバナンスは必ずも根付いてはいない。一般的に物言わぬ株主と言われる日本の株主もそれを容認してきた。しかし近年、経済が停滞している様をみると、経済をけん引すべき会社が今のままで良いのかとの疑問はどうしても湧いてくる。また国民の財産を預かる公的年金、生保、損保、信託会社も経済の成り行きに任せていればそれで役目を果していることになるのかとの疑問も湧いてくる状況にある。株式会社を商品とみる考えには抵抗があるが、企業を育てる健全な株主(対話型株主)があっても良い。何を商品開発し何に投資すべきか鮮明に見通せない環境下でどこまで期待される成果があがるのか皆目分からないが、少なくとも株価上昇には効果するであろう。期待したい。
補足
東証上場企業の機関投資家の株式保有比率は96年の23%から13年には48%(うち海外機関投資家30%強)に増えた。2000年代の英80%、米60%に較べれば低いが米国の90年代の水準。(8/6日経)
by bonjinan | 2014-06-11 10:35 | 政治・経済