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ウクライナの混乱

親欧米派による政変が起きたウクライナの南端クリミアにロシアが軍事介入した。米国の金融緩和縮小、新興国経済の混乱などに加えて世界の大きな問題として浮上してきた。わが国とウクライナとの直接の経済関係は薄いが(12年の輸出5.7億ドル、主として自動車、輸入4.9億ドル、同穀物)、欧州の政治、安全保障、EU経済への影響などを通してこれから影響がでてきそうだ。
ウクライナの政治、経済を概観してみた。まずウクライナの基礎知識から。1991年、ソ連崩壊に伴い独立国家として誕生。人口 約4500万人、GDP 1797億ドル、1人当りGDP 3955ドル(08年)、ここ数年、経常収支は赤字、12年では148億ドルの赤字。直近13年末の対外債務残高は1362億ドル、外貨準備高は247億ドル(2/27ウクライナ政府が発表した最近の数字では150億ドルに減少)。歴史的には、ウクライナ西部はポーランドに併合される時代などありヨーロッパの影響を大きく受けたこともあって親ヨーロッパ的であるのに対し、東南部は帝政ロシアの植民地として発展してきたことからロシア系住民が多く総じて親ロシアであり人口密度も高い。特に1954年にソ連領からウクライナに移管されたクリミア(現ウクライナで唯一の自治国・クリミア自治共和国)は親ロシア的といわれる。大きな問題はエネルギー(天然ガス)をロシアに依存していること、主たる産業は農業を除いてはソ連時代の産業配置から南部の鉄鋼業だが1人当りのGDPが低いこと(EU加盟国の中でも低いポーランドと比べても約30%)。これまでの政権はこうした現実を踏まえて、「ヨーロッパ統合・ロシアとの経済協力」路線という微妙な「バランス外交」で切り抜けてきたが、今回、このような混乱に突入してしまったことから、簡単にはこれまでの状況に戻れなくなってしまった。今後の展開について。ポーランドなどEU加盟近隣諸国は安全保障上、EU加盟、NATOへの加盟を望むだろうし、欧米も支援を表明するであろうが、経済格差が何かにつけ問題となるEU内においてどこまで支援し続けられるのかは分からない。また何よりもロシアが黒海を臨む要衝と位置づけていることから離反には猛烈に抵抗するであろう。一方、もし東南、西で国家が分裂するとなれば、エネルギー供給問題に始まり独立後の経済運営をどうするのか展望がないだけに先が見えてこない。ロシアにとっても同じことでロシアのEU向け輸出は輸出総額の約15%、天然ガス輸出の約30%であることから影響は大きい。混乱が長引き、欧米対ロシアの対立構造が深まれば、今後の国際関係(エネルギー問題、イラン、シリアへの協調外交、北方領土返還交渉など)にも大きな影響が及んでくる。米国のプレゼンス低下とともに大国が自国の利益を優先するようになるのだとすれば混乱しかみえてこない。またG8首脳会議が中止となった場合、まさにG0の時代に入るのかも知れない。関係国リーダーの英知、何よりもウクライナ国民が冷静な行動によりもともと求めていた自由、自立を確実に達成して欲しい。
参考:羽場久美子・溝端佐登史編著『ロシア・拡大EU』ミネルバ書房(2011.4)

追加2014.3.22(ロシア、クリミアを編入)
プーチン大統領は21日、クリミアとセバストポリをウクライナからロシアに編入させる手続きを完了する法律に署名した。これより前、ロシア上院は関連条約を批准し編入に必要な憲法改正案を可決した。一方、ブリュッセルではEUがウクライナとの関係強化に向け連合協定の政治協力に関する部分の署名。EUはロシア制裁も強化し、ロシアと西側諸国との対立がさらに先鋭化している。(ブルーバーグ)

追加2014.3.25(ロシア、資本流出)
ロシア経済発展省が24日、1~3月期のロシアからの純資本流出額は約700億ドル(約7兆円)に上るとの予測をまとめた。昨年1年間の流出額627億ドルを超える。また同期の経済成長率はほぼゼロとなるとし14年の政府予測2.5%は早くも困難な見通し。一方、通貨ルーブルの下落でインフレが加速。2月に6.2%だったインフレ率は3月に約7%に上昇すると予測した。(日経夕刊)

追加2014.3.26(Gゼロ時代)
G8からロシアを除いたG7が24日、ハーグで緊急首脳会談を開いた。3/26日経は、「Gゼロ、漂流する世界」、「米弱体化、ロシア強硬、中国したたか」のタイトルをつけ、「G8解体までの結論にはならなかったが、機能不全が目立っていたG8体制が崩壊寸前なのは明白だ」と伝えている。

2014.4.8(ウクライナ東部、親ロ勢力拡大)
ウクライナ東部の主要都市で、庁舎や議会の占拠を続ける親ロシア派勢力の勢いが拡大している。ドネック州、ハリコフ州では一方的に共和国の創設を宣言した。ウクライナ側は同国東部に特殊部隊を投入した。ロシアの軍事介入を招きかねない状態にある。(日経)

2014.4.16(親ロ派排除へ)
ウクライナのトゥルチノフ大統領代行は15日、同国東部ドネツク州の警察署や行政庁舎を占拠している親ロシア派武装勢力を強制排除する作戦を開始したと同国国会で表明した。死傷者がでる重大局面に突入した模様。(毎日配信yahooニュース)

2014.7.19(マレーシア機追撃)
ウクライナ東部上空約1万メートルで17日夜、撃墜されたマレーシア航空旅客機(アムステルダム発クアランプール行ボーイング777型機、298人死亡)の墜落現場に入った欧州安保協力機構調査団の先遣隊が18日、親ロシア派武装勢力の妨害を受けて撤収した。(日経) どのような命令系統か分からない紛争ほど怖いものはな。戦争も然り。

2015.2.13 停戦合意
ウクライナと東部の親ロシア派武装組織が12日、2度目の停戦合意に達した。独仏ロシアの首脳をまじえた4カ国首脳会談を経て実現した合意は年末までに和平につなげる計画。ただ親ロシアの支配地域の確定は未確定のままであるために不確定要素が大きい。(日経)
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by bonjinan | 2014-03-02 20:26 | 政治・経済 | Trackback
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