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万能細胞STAP

 理化学研究所(小保方晴子研究ユニット)などは29日、様々な臓器や組織の細胞に成長する新たな万能細胞を作製することにマウスで成功したと発表した。マウスの細胞(生まれて間もないマウスのリンパ球)を弱酸性液に入れて刺激することで万能細胞に変化するという(名前の”STAP”は「刺激惹起性多能性獲得」の英語頭文字Stimulus-Triggered Acquisition of Pluripotencyだという)。但しその再現性と何よりも人間の細胞でも再現することが肝要であり、その条件探し、およびメカニズムの解明が不可欠でさらなる研究が必要になる。多くの課題が残されているとはいえ嬉しいニュースだ。
参考:理化学研究所ホームページNHKニュースBBCニュース

追加2014.3.10
万能細胞STAPの論文について、共同執筆者の一人、山梨大・若山輝彦教授は「研究の根幹が揺らぎ、確信が持てない」とし論文の撤回を検討している。(朝日3.11)

追記2014.3.14
STAP細胞の論文が疑われている問題で14日午後、理化学研究所が記者会見した。
野依理事長は「理研の研究者の論文が信頼性を揺るがしかねない事態を引き起こしたことに対しておわびする」と謝罪した。(以上、産經Webニュース3.10) 科学論文は、実験結果により、これまで研究発表されてきたこととは違った、どのような新しい知見を得たのかを述べるのが基本である。もし疑われているような、実験結果の改ざん、他者の論文内容を引用したことを明記せず自分の論文としてコピペしたのだとすれば、残念だが研究者としての基本姿勢がまったくできていないということになる。釈明できるとすれば、まちがいなくSTAP細胞は再現するという証拠(エビデンス)の提示だけである。理研の記者会見でこのことが少なくとも共同執筆者、研究チームから発表されるのではと期待したがそうではなかった。理研の研究体制にも問題があるということだ。最終的に事実と異なる論文となれば、執筆者の信用失墜はもちろんだが、Nature紙、理研、博士号を授与した早大、日本の研究者の信用、権威を著しく傷つけることになる。なお共同執筆者の一人ハーバード大・バカンティ教授は現時点での論文取り下げに反対している。

2014.4.1(理研最終報告)
理研は1日、小保方論文について「ねつ造にあたる研究不正行為にあたる」と最終報告した。(報道各社)一方、小保方氏は「悪意のない間違い」であるとして理研に「処分不服」を申し立てるようだ。第一にSTAP細胞は存在するのかだが(そう信じたいが)、論文に書かれた方法で同じ結果が得られなければ基本的に疑義を持たれるのは当たり前のことである。第二に既発表の論文内容の引用であるかどうかを記述せず書いているとすれば実験そのものも疑われるというのも当たり前である。理研の判断は特に後者の常識に照らして判断したものだろうから当然といえば当然だ。小保方氏は不注意だと詫びるが事実だけを積み重ね新たな知見を得ようとする科学の世界にあって、少なくともそうした謙虚さが欠けていると言われても仕方ないことだ。近日、本人の会見があるようだが、そもそもなぜ専門家でしか判断できないことを弁護士を通して記者会見しなければならないのかそれも分からない。小保方氏に悪意がなかったどうかは研究者の世界の常識、倫理観で判断される性格のものであり、法曹界、一般人に訴えて貰っても困るのである。記者会見するとすれば論文執筆過程の補足説明だけのはずである。

2014.4.9(小保方氏記者会見)
記者会見の一部をNHKで見た。小保方氏は論文の不備を詫びる一方、STAP細胞の存在は実験で200回以上は確認しているとして同細胞の存在そのものへの疑義は否定した。しかし公開された画像は博士論文のものではなく、パワーポイント上で更新されてきたものとの説明があったものの、一番重要な大元となる画像は何時どのような実験で撮られたものなのか、またその後どの部分を何の目的をもって修正されたのかなどについては不明確であった。結論がはっきりしているならば実験過程、説明は分かりやすく修正しても良いのではなく、結果の信ぴょう性を高めるためにも説明は実験事実に忠実で丁寧でなければならないとの認識が希薄であった。未熟、お詫びという言葉で表現されているものの、科学的に中身のある会見ではなかった。記者会見はSTAP細胞の存在そのものまで否定されたくないとの趣旨で行われたようだが、その作成方法については(この段に至っても)、別途、論文で発表するというのだからその感覚に驚く。発表された論文に述べられた方法、条件で追試すれば誰でも再現できるものでなければ基本的に科学論文ではないのであり、問題になっている論文は本来取り下げるべきものだ。疑義は解消されないどころかむしろ深まってしまった。更に理研の再調査には弁護士にも参加して貰いたいというのもまったく理解できない。論文についての議論しているのであって法的問題でも何でもないからだ。どんな画期的な発見があったとしても、それでもなお実験の誤りではないかと疑うのが本来の姿勢だ。真面目な研究者からみたら中身のないやりとりにもうウンザリしたというのが本音だろう。以上、あるべき研究者像から書いたものだが、人間小保方さんとしてみたとき、研究者の作法を教えられないまま(甘やかせられながら)、弱冠30歳にしてリーダーとして抜擢されたてしまった不幸かも知れない。理研の採用から始まり日々の人事管理に問題があるということだ。自主性を尊重するあまり、理研には人と組織をマネージメントする体系が曖昧になっているのかも知れない。

2014.4.16(笹井芳樹氏会見)
「STAP細胞を前提にしないと説明できなくなる」が骨子のようだ。可能性はあるが断定はできないということのようだ。ならば論文としては、これまでの細胞種では説明できない性質であること、有力な仮説としてのSATAP細胞が考えられるにとどめるべきだった。いずれにしても論文に基づき実験すれば誰でも同じ状態が再現しなければ科学にはならない(テクニックがあるなら補足説明する必要あり)。可能性をもって断定することはできず、この段に至っては、最終的に万能細胞であることを実証して貰わないと議論しても余り意味がないということになる。それにしても人の生命に関わる重大発表であるにも関わらず、論文執筆者の十分な相互確認がなかったようであり、我われ素人からみればこのことがそもそもの問題の発端である。

2014.5.9(理研判断)
理研はSTAP細胞の論文で不正があったとした結論を確定した。
報道される内容からすれば当然である。残る問題は二つ、一つはSTAP細胞は本当に存在するのかである。現状、世界中から再現したとの報告が上がっていない状況からすると、私のような素人からみても、そう簡単に実現するものでもなさそうだし、もしかしたら誤認であることも否定できない。理研は1年かけて検証するとしているからその結果を待つしかない。二つ目は理研の人と組織のマネージメントの問題だ。大学とは違って教育機関ではなく、研究者の倫理、作法まで教える場ではないとの意見があるが、それは間違っている。本来は大学院で教育されるべきとは言っても、現実に問題が発覚すれば組織の信用を失いかねない事態が起こる可能性がある以上、企業でいうところの広い意味でのコンプライアンス、リスクマネージメントが重要になる。理研には他人の専門分野には口を出さない雰囲気があるのかも知れないがそれでは組織の規律は保たれない。近年、研究者間の競争が厳しくなり重要部分を討論しないまま有力雑誌に投稿する風潮が強いという。古風かも知れないが、やはり研究の信憑性を高めるためにも、研究者同士で率直に意見交換する雰囲気醸成がなにはさておき必要だ。大学も同じだが自由で創造的な場を維持する努力、或いはそのための自治治は極めて重要だ。

2014.8.6 理研、発生・再生科学総合研究センター・笹井副センター長死亡
STAP細胞の発表は、存在そのものについての疑義、また先端科学分野における人事、組織、マネジメント(倫理、危機管理)、研究の進め方など多くの問題を提起した。その有力者を亡くしたことは極めて残念だ。
参考:笹井センター長の訃報を伝えるNatureホームページ


2014.8.27 STAP細胞再現できず
理研は27日午後4時、STAP細胞の検証チーム(丹羽リーダー)から検証状況の中間報告があった。内容としては既に発表したSTAP細胞の作製方法を基本にして再現実験したが(マウスの脾臓から取り出した細胞を塩酸の希釈液漬けた後、培養し万能細胞化を確認するもの)、現段階では作製できていないというもの。小保方リーダーの再実験についてはこれとは別に11月結論の予定で進められている。

2014.12.19 STAP細胞の検証実験打ち切り
理研は19日、STAP細胞の検証実験でSTAP細胞を作製できず3月を待たず実験を打ち切ると発表した。ES細胞が混入していたのではないかと言われているが、もしES細胞が混入していたのだとすれば故意か過失かという問題になる。故意だとは思いたくないが、過失だとしてもサンプルの管理とデータの管理がいいかげんだったということ。それだけでも研究者としては失格と言わざるをえない。研究は研究者を信用しなければ自由闊達な研究ができなくなるのは事実としても、これを見抜けなかった共同研究者、管理体制の問題は依然として残る。
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by bonjinan | 2014-01-30 07:46 | 文化・歴史 | Trackback
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