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社会と宗教のつながり

橋爪大三郎『世界は宗教で動いている』光文社新書(2013.6)を読んだ。宗教は、異文化を理解する上で、また人々の思考方法の深層部分を理解する上でとても大事であろうことは容易に想像できる。しかし具体的に例をあげてと言われてもとても答えられない。本書はそんな問いに答えてくれる。しかもキリスト教、イスラム教、ヒンドゥー教、儒教、仏教、神道などを網羅的に採りあげてくれているので、グローバルに活動しなければならないビジネスマンの教養書としてはとても良いかも知れない。もちろん超鳥瞰的に語られたものなので、本書を読んだからといって、宗教のすべてを知ったとはならないが、理解を深める起点とはなる。ウォール街の”強欲”をどう考えるか、イスラム教は平和のための宗教、神道とはどのような考え方か(靖国神社の問題とは)など、興味あるテーマで書かれている。
補足1
世界にはビジネス、儲ける事、自他を比較し自らの優性を説くことを善しとしない宗教観の人はたくさんいる。
むしろ日本でいうところの企業戦士は嫌われることが多い。
補足2
宗教ということばが使われ出したのは、Religionの訳語が必要になった幕末期だった。religionはラテン語のreligioから派生したもので神と人を結び付けるものとの意味を含む。西洋の言葉だけに語源的にも一神教の世界によく合う。ではわが国に宗教という言葉が導入、普及されるまではどんな言葉が使われていたのだろうか。日本は基本的に多神教の世界であり、神の対象は穢れなき自然、自我なき諸物であった。もっとも適切な言葉は「祈り」だという。人間が亡くなると神、仏になるのは自然にもどるというという意味合いからだった。
補足3
改めて宗教とは?
『広辞苑』によれば「神または何らかの超越的絶対者あるいは卑俗なものから分離され禁忌された神聖なものに関する信仰、行事。またそれらの連関的体系。帰依者は精神的共同社会を営む。アニミズム、自然崇拝、トーテミズムなど原始的宗教、特定の民族が信仰する民族宗教すなわち仏教、キリスト教、イスラム教など多種多様」とある。先日、ある宗教学者と話したとき、宗教が起こった始まりと背景は?などと馬鹿な質問をしてしまった。結論から言えばはっきりしたことは分かっていないという。それもそうだ。宗教をどう定義するかによって違ってしまうからだ。人が死を意識した時からその原型ができたのではと仰る。
先ずはおおよそ50万~30万年前に現われた旧人類ネアンデルタール人のこと。イラクの北シャニダール洞窟で史上初の葬式跡が発見され、骨の周りから花粉が採取された。これを根拠に死者を埋葬する時に献花されたと解釈され(異論もあるが)、これが史上初の原始的宗教の始まりだと言われる。その次のマイルストーンとなるのはやはり文章として残された『旧約聖書』だろう。メソポタミア文明、エジプト文明とも離れた弱小民族が捕囚の体験を踏まえて生きるための規範としたものながら(生きるという概念は死を意識してこそ成り立つ概念)、そこには民族宗教を越えた普遍性があるからであろう、後にキリスト教、イスラム教の原点につながったからだ。
by bonjinan | 2013-08-08 20:09 | 読書