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異次元の金融緩和

日銀、黒田総裁が非伝統的金融政策と分類される異次元金融緩和を打ち出してから約4か月。この政策の柱となっているインフレ・ターゲット政策を現断面でみるとどうなるのか点検してみた。まずインフレターゲット政策について。目標とするインフレ率を設定し(アベノミクスでは2年程度のうちに消費者物価上昇率2%)、目標が達成するよう金融政策を運営し(同、長期国債を中心に毎月7兆円の買オペ)するものである。
ではどのような経路でデフレを脱却すると考えているのであろうか。
岩田規久男『初歩から学ぶ金融の仕組み』(放送大学叢書)左右社(2010年)によれば、①外貨建て資産を含めた各種資産の価格上昇を通じた経路。マネーの増→株価上昇、地価上昇→バランスシートの改善→消費増、投資の活発化。マネーがドル建て預金等に向かえば円安・ドル高→輸出増、
②肝心要のインフレ予想の形成を通じての経路。 ①の経路を通じて総需要の拡大が予想されれば、インフレ予想が形成され、仮に「流動性のワナ」に陥っていて長期名目利子率が低下しなくても予想実質利子率(名目利子率-予想インフレ率)が低下するため、企業は投資を増やし、国内総生産と雇用が拡大との道筋があげられている。伝統的金融政策では金利という投資コストを直接操作したのに対して、インフレターゲット政策は景気回復への人々の期待からつながる経済行動に依存していることが分かる。
以下、デフレ脱却の説に沿って現断面をみてみる。昨年11月に比べると、確かに株高、円安となっているもののここにきて反落している。米金融緩和の出口戦略を睨んで、世界のマネーは拡散から収縮に、リスクオンからリスクオフへ動いているように思える。日銀の買オペも当座預金残高を増やしているだけ。昨日、総務省から発表された6月分消費者物価指数をみると、輸入価格の上昇で上昇傾向にあるが、コアコアCPIでみると前年同月比で-0.2%でありデフレ脱却とまではなっていない。賃金上昇がない中での物価上昇なので先行きへの不安が高まるかも知れない。長期金利の方をみると0.785%とわずかに下落方向。CPI動向と併せて考えれば一見、筋書き通りのように見えるが、マネーの国債回帰とみるならばリスク回避への動きとして捉えるのが妥当だ。もっともCPIが上昇すれば長期金利も上昇すると考えるのが一般的であり、短期的な動きをもって判断することはできない。結局のところ、現時点ではインフレターゲット政策の効果についてはまだ何も言えないということだ。発表され出した各社4-6月期決算をみると、世界の景気低迷の影響を受けている輸出企業も散見される。全体として何が言えるのか様子を見るしかない。
参考:総務省ホームページ(消費者物価指数)2013.5.2ブログ「マネタリーベース」
補足:7/26日経平均14129円(前日比432円安)、ドル/円相場98円台

追加2013.9.18日経 米出口戦略関連
米FBRの議長人事、量的緩和の出口戦略をめぐり、日米の長期金利(10年物国債利回り)が変動している。
量的緩和に否定的なサマーズ新議長の誕生をにらんで2.6%(8月初め)から一時3%まで上昇したが、サマーズ氏の就任辞退表明により2.8%強。一方、日本では米国の金利上昇をにらみ0.78%あたりから0.71%に下落している。

追加2013.9.19日経 米出口戦略関連
米FOMC(米連邦公開市場委員会)は、量的緩和の縮小を当面見送ると発表した。
理由は雇用回復で確証を得るに至っていないほかであった。
金融緩和は金融危機への対策として効果はあるのだが成熟期に入っている実体経済を動かすのは難しいということだろう。わが国の金融緩和についても、金融政策以外の景気回復要因がでてこない限り、効果が確認できないまま出口が見いだせなくなるのではないか・・・。
参考:米国、2013年、足元の経済指標”10~12月期予想”
GDP伸び率2.0~2.3%(2.3~2.6%)、失業率7.1~7.3%(7.2~7.3)、インフレ率1.1~1.2
(0.8~1.2) GDPとインフレ率は前年同期比伸び率、( )内は6月時点予想

追加2013.9.19ダイアモンドオンライン マネーストック、マネタリーベース関連
野口悠紀雄氏記事「金融緩和政策が経済に与えるのは、マネーストック(現金通貨+預金通貨)が増加するからである。マネー市場でマネーに対する需給を緩和し、実質金利を低下させ、設備投資や住宅投資を増やすものと期待される。これが教科書に書いてある金融緩和だ。しかしマネタリーベース(現金通貨+日銀当座預金)とマネーストック(M2、M3)を比較すると元白川日銀総裁時代の量的緩和期(01年~06年)を含めて、マネタリーベースの増加に比較してマネーストックは1/10未満の伸びに過ぎない。細かくみると確かにマネーストックは2013年3月からは伸びているが、1%程度の差。金融緩和の効果が今の時点ででているとはとても言えない」と指摘する。

追加、2013.10.23(金融資産の運用面からみたリスク回避の傾向)
日本の金融資産、家計1590兆円、事業会社845兆円。
6月末時点で銀行などに預けられた預貯金は1261兆円、このうち融資に回っているのは682兆円(対預貯金比54%)に過ぎず、残りの多くは国債で運用されている。銀行はバブル崩壊の怖さを知っているからこそ融資には慎重なのだが、慎重なあまり有用な投資先を開拓する「目利き力」も低下している。
(日経2013.10.23)

追加2013.10.25日経夕刊 消費者物価指数
総務省統計局から9月分消費者物価指数が発表された。
2010年を100とした、月次(前年同月比%)推移(6、7、8、9月)は次の通り。
CPI総合:6月0.2、7月0.7、8月0.9、9月1.1
コアCPI:0.4、0.7、0.8、0.7
コアコアCPI:▲0.2、▲0.1、▲0.1、0.0
エネルギー関連価格の上昇がCPI総合を引き上げているが、コアコアCPIでみるとマイナスは脱出したとはいえ、まだまだ弱い動きだ。

追加2013.10.27日経 サムライ債
外国政府や企業が日本での資金調達を拡大している。
13年度上期(4~9月)のサムライ債(海外の政府や企業が円建てで発行する債権)発行額は9500億円強と前年同期比で約5割増えた(概ね2010、11年水準に)。ただし元本返済のリスクが相対的に低い2~3年物など短い年限のサムライ債に集中しているという。
海外からみて日本の金利が低いこと(仏BFCMが10月発行した2年物サムライ債の例0.475%)、日本人投資家からみて日本国債(2年物で概ね0.1%)より金利が高く、為替相場に影響されないとのニーズが合致してのことと報じられている。
わが国における大規模な金融緩和による資金が海外に向かっているとうことで円安要因の一つとはなるのだが、輸入を上回る伸び率で輸出が伸びているわけでもないので気になるところだ。
参考:2013.10.21ブログ記事「2013年上期の貿易収支」

追加2013.10.30日経夕刊 鉱工業生産指数
経産省が30日、9月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整値)の速報値を発表した。
これによると98.5、前月を1.5%上回った。上昇は2カ月ぶりで、水準は昨年5月以来1年4カ月ぶりの高さ。
但しリーマンショック前の120弱からは程遠い。回復基調にあるとは言え渋い。全体を押し上げたのは輸送機器(自動車関連)だった。
参考:経産省ホームページ「鉱工業生産指数」

追加2013.11.5 東証株価
アベノミクスへの期待を素直に表現してきた日本株価が、5月に年初来高値の15,942円を一瞬点けた後、14,000円台で一進一退を繰り返している。景気回復期待による株価上昇の時期が過ぎ、市場はこれから先を気にしてきたということだ。輸出企業はコストダウン、円安効果でそれなりきの効果が出ているのだが、景気全体を引っ張るだけの迫力がない。象徴的なのは日産で増収減益の決算。今、稼ぐべき北米で稼げていない。いかに市場環境が好転しようとも商品力がなければ安売りしかできないのであり、長引いたデフレ時代と本質的には変わらなくなるということだ。企業には改めて商品力を高める努力をして欲しい。
一方、トヨタは2014年3月期連結営業利益は前期比67%増の2兆2000億円の見込み(従来予想1兆9400億円、リーマンショック前の08年3月期2兆2703億円に迫る)。結局、環境が良くなっても全ての企業が良くなるわけではないということだ。

追加2013.11.13 機械受注統計
内閣府が13日、機械受注統計(7~9月期、10~12月見込み)を発表した。
7~9月期の船舶、電力を除く民需では前期比4.3%増の2兆3986億円で2四半期連続で増えた。
但し10~12月期マイナスに見込んでいる。
引用:内閣府ホームページ「機械受注統計」

追加2013.11.15 東証株価
15日の日経平均(終値)15165円。5月以来の15000円突破となった。またドル円相場も100円台となった。FRBのイエレン時期議長による「緩和縮小の特定時期は決めていない」との米議会証言が市場に安心感をもたらしたためとされる。15日のニューヨークダウも3日連続の史上最高値を更新し1万5961.70ドルとなっている。日本株で言えば15000円の壁を破ったことで更に高値を追いそうではあるが実体経済に特別な材料があるわけではないので反動もあるのだろう。米暫定予算の期限1月15日、同債務上限の引き上げ期限2月7日を睨んでの動きになるのかも知れない。

追加2013.11.20 毎月勤労統計調査
厚労省が発表した「毎月勤労統計調査、9月分確報」によると、労働者総数4630万人の9月月間現金給与は26万4447円(前年比-0.2%)。
引用:厚労省ホームページ「同上調査報告」

追加2013.11.20 貿易統計
財務省が20日発表した10月分貿易統計(速報)概要
輸出6兆1045億円(対前年同月比+18.6%)、輸入7兆1952億円(同+26.1%)、差引▲1兆907億円。
為替レート98.26円/ドル(同78.30円/ドル)
前年同月比25.5%の円安で、輸入はそれに比例しているのに対して輸出が追いついていない。
その理由としては、決済通貨を輸出入で概ねバランスさせ為替レートの影響を受けにくい構造になっていること(財務省、貿易取引通貨別比率)、海外を含めた生産拠点を簡単には変えられないこと、世界的景気停滞の中で物量が増えない状況にあることなどが考えられる。
引用:財務省ホームページ「貿易統計」

追加2013.22.21「就労条件総合調査」
厚労省が21日発表した「就労条件総合調査」によると、2012年の正社員の年次有給休暇の取得状況は、与えられた日数平均18.3日に対して取得平均8.6日で取得率は47.1%だった。2011年では、同18.3日、同9.0日、49.3%であったことから2.2%の減。政府の掲げる「ワークライフバランス」の推進は進んでいないことになる。またこのことは実質賃金の低下を意味している。
引用:厚労省ホームページ「就労条件総合調査」

続き → 「異次元の金融緩和(続)」
by bonjinan | 2013-07-26 18:13 | 政治・経済