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暮らしを支える化学

2016.10.21  化学の日
日本化学会、日本化学工業協会など4団体は、毎年10月23日を「科学の日」としている。
10月23日は、アボガドロ定数、6.02×10の23乗に由来している。
アボガドロ定数:1 molの物質中に存在する粒子の数。

2016.6.9 原子番号113番の名称案「ニホニウム」
理化学研究所は8日、名称案を「ニホニウム」、元素記号(Nh)と決めた。

2016.1.1 113番元素
理研が合成した新元素が31日、113番元素と国際的に認定され命名権が与えられた。
原子番号92番のウランUよりも重い元素は人工的につくる必要があり、原子番号30の亜鉛Zn原子を原子番号83のビスマスBi原子に衝突させ確認した。合成されるのは1垓(がい=1兆の1億倍)に1回位の確立といい、それも2ms程度で軽い原子に変ってしまうという。挑戦は約500兆回にわたったという。アジア発の発見となる。(日経)

2013.6.16 市民講座より
昨日、慶応大学理工学部主催の市民講座が開催された。テーマは”くらしを支える化学”だった。
普段目にするプラスチック製品はもとより隠れたところでも暮らしを支える化学製品が溢れている。あまりに化学製品が多すぎてそれがどんな原理でそしてどのように造られているのかは知らない。しかし一歩、その世界に踏み込んでみると面白い世界が広がっている。以下、そのメモ。
1.講演「材料の機能がシステムを変える」
光がポリマーに入射するとポリマーのサイズにより、光の基本的原理に基づいて、それぞれ異なる光の現象が現れる。この原理を利用した応用展開を紹介頂いた。①mmサイズでは屈折・反射、これを利用した(以下→)屈折率分布型プラスチック光ファイバー(GI型POF)、②μmサイズでは散乱→高輝度光散乱導光ポリマー、液晶の導光板として採用されている。③nmサイズでは分極→ゼロ複屈折ポリマー、④さらにサイズが小さくなると吸収放出→高出力ポリマー光ファイバー増幅器・レーザー。①関連:かつてプラスチックファイバーはコスト、屈曲性で優れているものの光散乱が大きく、長距離、高速伝送には向かないとされていた。今は40Gb/sまで通せるという。これに至る挑戦のお話はとても印象に残る。②関連:①で問題となる散乱を逆転の発想で積極的に利用したもの。いづれも基礎原理に軸足を置き執念深く追及しブレークスルーしたところがすごい。私たちはとかく先ず目標ありきそしてそのロードマップは?と考える。一見、合理的な思考法と思えるが、ここからはシステムをかえるようなブレークスルーは起こらないとおっしゃる。ここ10年来の政治経済分野におけるデフレ脱却論をみるとまさにそうだ。マクロ経済論者が世の中をどうにでもできるような論をたてているが、長い目でみれば技術革新なくして経済成長など何も起こりえないのではと改めて考える。
2.栄長教授による講演「ダイヤモンドを電極して使う~環境改善から生体計測まで~」
ダイヤモンド生成過程(マイクロ波プラズマCVD)で不純物を混合すると半導体になる。これを電極にするとカーボン電極や白金電極に較べて水素や酸素を発生しない領域(電位窓)の広い優れた電極になるという。ダイヤモンドは炭素でありもともと生体となじみが良いことから医療等への応用が考えられているという。
3.日本科学会会長・玉尾先生による講演「『一家に1枚周期表』にみるわが国の科学技術の底力」
科学技術の底力をあげるべく、先生が主導されて作成された『元素周期表』をいただいた。
この表には最新科学技術を取り込んだ解説がされている。原子番号60、Nd、かつてはネオジウムといったがネオジムになったこと、原子番号32、Ge、ゲルマニウム、この説明をみると、初期の半導体材料はともかく、赤外線用レンズやプリズム、光ファイバーの屈折率を上げる、原子番号46、パラジウム、水素化、アセトアルデヒド合成やクロスカップリング触媒・・・、(玉尾先生はクロスカップリング反応で先導者だっただけにノーベル賞を取れず残念だと思うが・・・)等々書かれている。この周期表にはこうして最新の話題も織り込まれているので興味が尽きない。若者の理科離れを防ぐにはまず大人が理科好きになることだというようなこともおっしゃる。以上、三人の先生方の講演は化学素人の私にも分かった気にさせる講演だった。
by bonjinan | 2013-06-16 14:56 | 文化・歴史