人気ブログランキング |

AREKORE

bonjinan.exblog.jp
ブログトップ

デフレの真の原因

デフレとは物価が継続的に下がり、貨幣価値が上がっていく状態を指す。失われた20年をみるとまさに定義通りだ。いろいろ分析されているが平成22年版『経済財政白書』内閣府を改めて読み直しながら長引くデフレの真の原因を考えてみた。先ずわが国のデフレの実体から。90年以降、GDPギャップのマイナスが続いたのはOECD諸国では日本だけだった。通常であれば景気循環のなかで平準化し解消されるはずだが日本だけがマクロ的な需要不足ないし供給過剰の状態が続いてた。まず内需からの点検。はっきりしているのは、この間、賃金(1人当りの雇用者報酬)が円安に振れ比較的好況であったリーマンショック前の数年を通しても下落していることだ。賃金が減るから消費が減る。当たり前のことが続いていただけのことだ。ではなぜ賃金が減り続けたのか。この間の労働分配率をみると概ね企業の経常利益に連動していたから、労働分配率の問題ではなく、企業全体として付加価値率を下落させながら事業していたことになる。企業は新たな価値を創造ができないままひたすらコストカットに専念していた、消費者は賃金の下落に合わせ海外の格安品に切り替えていったという姿が浮かびあがる。次に外需についての点検。白書は、わが国のGDP成長率に占める輸出の寄与率がOECD諸国中もっとも高く、むしろ外需がけん引していること、仕向け先が先進国からアジア向け輸出へシフトしていることを踏まえ、OECD諸国を対象にして、GDP成長率に占める輸出の寄与率と物価上昇率、賃金上昇率の関係を調べている。その結果、「輸出寄与率が高い国ほど物価や賃金上昇率が低い傾向、かつ賃金水準の低い新興国との競争が物価や賃金上昇率を抑制している可能性」と指摘している。これも輸出の主力をなしていた電機産業をみれば、完成品製造から部品材料供給へ、その半導体、パネル生産まで激減している状況をみれば納得できる。以上をまとめると、GDP成長率への影響の大きい輸出分野で、付加価値率が継続的に下落することへの対応として、賃下げによる対応で凌ごうとしたことが産業構造の転換を遅らせデフレを長引かせたのだということになる。こう述べると、必ずそれは円高進展こそが原因だと述べる人がいる。だが基軸通貨のドル安は長期的トレンドであったし、それよりも何よりも為替レートは長期的に操作できないのだ。結局、1990年以前の成長期にみられた大量生産と薄利多売による成長願望を立ち切れないところに問題があるのだ。残念ながら今となってはこの分野で新興国の資本力、技術力を凌ぐことができなくなってしまっている。少々円安に振れても、競争力を回復させるためには値引きせざるをえなくなるから、結果として増収増益の効果はあっても少ない。貿易赤字を縮減することにも繋がらない。本来、10年前から真剣に取り組まねばならなかったのだが、付加価値アップ、賃金アップを優先課題にして、産業構造を変えていくしかないのだ。振り返ってみるとリーマンショック前の円安が構造改革を遅らせてしまったのだとも言える。今回の円安も体質転換をまた遅らせるのではと危惧している。今でも本質的には薄利多売型商品であるにも関わらずアドオン的付加価値をまだ追求している企業が多数ある。気持ちは良く分かるが問題を先送りしているに過ぎない。腰を据えて世のため人のための原点から見直して欲しい。
by bonjinan | 2013-02-14 20:07 | 政治・経済