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難しい日本語

何気なく毎日話している日本語ながらしばしばどう表現したら良いのか悩むことがある。話し相手がいる前で話すのであれば反応をみて言い方を替えるなり修正することもできる(もちろん非公式な場での話)。誰が見ているか分からない相手にしかも一方向でを語るテレビのアナウンサー、キャスターは、どんな思いで語っているのだろうか。加藤昌男『テレビの日本語』岩波新書(2012.7)を読んでみた。加藤さんは長年NHKでアナウンサーをされてきたとのことで舞台裏の努力などいろいろ書かれており興味深い。
そのなかに東日本大震災関連の報道番組で気になったという言葉があげられている。「各チャンネルを通じて目立ったのは「ご覧いただく、ご覧いただきます」の連発である。・・・映画やドラマの1シーンではない。・・・被災者が撮影した津波の映像を「特ダネ」と呼んだ局もある。・・・」と。テレビなど見る余裕もなく情報すら知らずにいた人、僅かな情報で逃げ惑っていた多くの人のことを想えば、確かにこの表現からは、現場は見世物、お客様は視聴者であるという普段の感覚のまま語られていたのかも知れない。著者の言うように、事実を正しく伝えることに専念し、〇〇です、〇〇ます、と語るべきだったのだろう。言葉使いの専門家でも表現に困ることがあるくらいだから確かに日本語は難しいのだ。もっともどの言語でも同じなのかも知れないが・・・。本書では、被災地で津波情報や避難の呼びかけを聞いたか、またその情報の入手先はどうだったのかの調査結果も書かれている。宮城県名取市での調査によると、呼びかけを知った人は49%、情報入手方法ではラジオが39%、消防や市役所の車25%、家族や近所の人25%に対してテレビは10%、ワンセグが6%と低い。本来情報がもっとも必要となるのは現場であることを考えると、情報伝達手段あるいは入手方法についても改めて考えさせられる。
by bonjinan | 2013-01-26 11:16 | 読書