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エンジニアたちの逆襲

NHK BS1で17日、「出井伸之と”やめソニー”たちの逆襲が放送された。75歳の誕生日を迎える元ソニー会長・出井伸之氏(1995年社長就任、2005年業績不振のため会長を辞任)と事業縮小のためソニーを離れざるをえなくなったエンジニア達のその後の挑戦をリポートするドキュメンタリー番組だった。日本の電機が衰退期に入りかけていたとは言え、まだ元気な時代に華やかに登場したトップであり、先端を行く音声技術、映像技術、デジタル技術、ソフトを融合したビジネスに挑戦したエンジニアたちであり、一時代であれ一花咲かせた、眩しい人達の話だ。私見を述べるのも憚れるが、番組の趣旨でもあったソニーに限った話としてではなく、元気がなくなってしまった電機業界全体、広くは製造業全体の問題として考えてみたいと思う。番組は「ソニーをダメにしたのは出井さんでは?」との辛辣な質問から始まった。出井さんは「映像と音のソニーだけだったら今日のソニーは存続していなかった。デジタル技術、IT技術を事業の一つ加えたことで今も生き残れているのだと思う」というようなことをを仰っていた。その通りかも知れない。デジタル技術は制御、加工し易い技術であったが故に無限の応用展開が追求できたし、その道に嵌らなかったとしたら、既存商品も急速に競争力を失っていただろう。ソニーに限らずどの企業でも歩んだ道だ。これは番組でも触れられていたが、一方ではデジタル技術は誰にも取り組めるという性格をもっていたから新興企業の参入機会を飛躍的に高めてもいた。言い方を変えれば価格以外の差別化が次第に難しくなっていたのだ。しかしなぜそれを見越して、戦略の修正、すなわち、限りなきデジタル技術の応用展開からユーザー視点の商品開発への転換ができなかったのかが反省事項として上げられる。もしかしたら日本にアップルが出現していたかも知れないのだ。今でも日本では、先端技術が未来を切り開くと信ずる研究者、エンジニア、独創性もなく時流に乗りたいと考えるエンジニアが圧倒的に多い。誰でも注目される分野に身をおきたい。しかしその願望が強ければ強いほど「先端技術=技術革新=競争力ある新商品」が頭に固定化する罠に嵌ってしまうのだ。もちろん全面否定するものではない。大企業だからこそ追及できるのでありそれが大勢であってかまわない。大事なことは、誰かが、特に経営者が、先に述べた罠に嵌って、世の中を広く世界的視野で見なくなっているのではないかと自問自答してみることではないだろうか。世のため人のためとの視点に立てば、必要なニーズなど幾らでも転がっているのだ。注目されている先端的技術領域ではない、現在の技術からの取り組み手順がイメージできない、ローテクっぽくて取り組む気がしない、業種横断的で難儀そうだなどの理由から誰も手をつけようとしないだけと思えてならない。これは電機業界に限らず、製造業全体に言える。わが国の製造業は、世のため人のためとの発想から業種横断的に再点検し再スタートしない限りダイナミックな復活は難しいと思う。また逆襲も難しいと思う。経団連からそんな声が聞こえてこないのも不思議だ。日本を救う大きなテーマへの挑戦者には国の成長戦略の一貫としても支援しても良いのだ。もう一度原点に帰って関係者には考えて貰いたい。

"Innovation is not about saying "yes" to everything. It's about saying "no" to all but
the most crucial features." Steve Jobs

2014.5.1(ソニー、パナソニックの2013年度決算)
ソニーは5月1日、2013年度の連結業績見通しを下方修正発表した。
日本を代表するグローバルカンパニーであるソニーとパナソニックを数字で比較してみた。
2013年度決算、ソニーについては見込み。
<ソニー>売上高7兆7700億円、営業利益260億円、税引き前利益260億円、純利益▲1300億円
<パナソニック>売上高7兆7365億円、営業利益3051億円、税引き前2062億円、純利益1204億円
ソニーはまだ土砂降り、パナソニックは前期が▲7543億円だったこともあってV字回復にみえるが本当に回復したのかどうか次期決算をみないと良くは分からない。
過去7年間の累積営業利益、累積純利益をみると<ソニー>営業利益6679億円、純利益▲5736億円、<パナソニック>営業利益1兆5975億円、純利益▲1兆5324億円。両社とも営業利益の約2倍の損失を出している。構造改革に追われ続けてきたことが良く分かる。もういわゆる家電では活路がないのか。日本の課題でもある。全く新しいアプリケーション、機能を見出さない限りどうも先が開けてきそうもない。

2015.2.22 パナソニック「水と空気で1兆円稼ぐ」
「パナソニック社長の津賀一宏(58)は昨秋、研究開発部門を大幅に見直した。創業者の松下幸之助が1953年に門真市の本社に中央研究所を置いて以来の改革だ。本社研究部門1300人の技術者のうち「電気」に関連した600人を事業部に移した。残る700人に与えたテーマは人工光合成(太陽光と二酸化炭素からアルコールや水素をつくる)や水処理、燃料電池、熱発電チューブなど「化学」の領域に近い」(日経)
かつてはマネシタ電機と揶揄されたパナソニックだが、「家電は価格競争や景気の波を受けた。同じ山には登らない」、今の日本にとって必要なエネルギー問題に果敢に取り組もうとする姿には、本当に拍手したい。 
by bonjinan | 2013-01-19 19:03 | 企業・起業