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創造力とは?

現代アートのことを全くと言ってよいほど知らない筆者が村上隆の名前を始めて知ったのは2010年秋、パリ郊外ベルサイユ宮殿で開かれた村上の作品展「Murakami Versailles」でであった。世界中に物議を醸したあの作品展でである。以来、村上とはどんな男なのか気になっていた。昨年末、村上隆『創造力なき日本』(角川oneテーマ21、2012.10)が発売されており読んでみた。最近、なにかにつけ、・・・べきだ、・・・必要だ、で終ってしまう言論界だが、アート界に於いて覚悟と継続性をもって、クライアントのニーズを具現化しようとしている村上流チャレンジをみると、今わが国ビジネス界においても最も欠けているものへの指摘なのだろう。何点か引用し考察してみたいと思う。
①「芸術作品は自己満足の世界でつくられるものではありません。営業をしてでも、売らなければならないものです。そのためには価値観の違いを乗り越えてでも、相手、顧客に理解してもらう「客観性」が求められます」 (考察)昨年から技術系で起業化した人たちのお手伝いをしているのですが、顧客を開拓して欲しいが圧倒的多数。顧客ニーズを具体化し顧客を掴むこと自身が最初から最も重要な仕事だったはずなのだが・・・。わが国には技術があると言いながらブレークスルーできない日本の病はこういうことなのだろうか。最近、アジアの成長を取り込むということも良く言われる。顧客の視点で見つめ直す必要がある。村上の言うように「ドリーム・カム・トゥルー=夢はいつか叶うもの、ではダメだ」ということだ。
②「やりたいことをやりなさい」と言って、混乱ばかりをもたらす自由を与えていても仕方がありません。それをやめて、今、世界のアートシーンはこうなっている。そこで生きていくためにはこういうことをすべきだと教えるようになったなら、日本のアート業界は変わっていくはずです」(考察)最近、いじめ問題が大きくなってきた。学校教育の純粋性を追求するあまり、教育が現実から遊離してきているためとも言える。就活も問題だ。何も事前知識がないままに学生は歩き回る。就活以前に職業教育がより重要で順序が逆になっているのだ。
③「芸術の世界でもIT企業でも、ほかのビジネスでも同じだと思います。いかに注目を集めて、自らの価値を高めるかを考えることが大切です。それに成功してこそ自由度が高まります」(考察)わが国産業の課題は付加価値をあげる産業への転換と言われて久しい。ブランドを創るということはこういうことかも知れない。
④ドワンゴを創業した川上量生との対談において川上は「今の世の中で正論が流行っているのは「よくわからないから」だと思うんですと述べる。(考察)村上も感銘しているが名言だ。良く、欧米の外交で二枚舌が指摘されるが、彼らは本質部分ではたっぷり自国に有利な条件を検討した上で、正論をぶつけてくる。対してわが国の外交はどうもそのふしがない。正論だけだから迫力がなく、突っ込まれるとその先がなくなってしまう。言論界、メディアもそうだ。分からないことは何だとはっきりするだけでも創造的思考に移れるのだが、それができない。その場その場をもっともらしいことを言って完結してしまう。正論から外れたことを考えること自体、忌み嫌われたりもする。残念な風潮だ。ただ言えることは、こうした正論があふれている時代だから、根が浅いと思ったら聞き流すしかない。
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    2010年10月、ベルサイユ宮殿庭園に展示されていたかっぱのオブジェ。
by bonjinan | 2013-01-12 12:38 | 読書