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TPPをどう考えるか

野田首相がTPP(環太平洋経済連携協定)の交渉に参加する意向を固めたことで、改めて大きな政治課題になってきた。11年5月、菅内閣が唐突に参加に向けての検討を開始すると表明して以来、賛否両論が渦巻き停滞していたかに見えたが、加入の3大案件と噂された自動車、保険、BSEの内、最近、報道されたBSE関連規制緩和等からみて、これは勝手な想像だが、米国との水面下での予備打合せが着々と進み日本政府の正式な参加表明待ちになったものと推察される。我々一般国民にとって、この問題を分かりにくくしているのは、正式に交渉に参加しなければ何も分からないとして、政府から考えるための材料すら提供されていないことによる。もちろん肝心要の一つ経済的効用についても信用するに足る数字はない。何事も物事には両面があり、それを提示した上で民意を問うのが筋であるがそれがないのである。交渉事で悪いニュースがでてこないのはむしろ要注意と考えるべきだろう。今はそれしか言えない。
以下、余談。本屋さんにはこの関連の本がたくさん並んでいるが、客観的に問題を整理した本はない。賛成論者は、日米安保強化論、あるいは投資環境の改善整備、アジア経由欧米向け迂回輸出をやり易くするための輸出企業の戦略を代弁した自由貿易論であり、国内問題分野については構造改革が必要としているだけで、各国状況を冷静に比較対照し論じてはいない。また一番重要な雇用への影響は誰も責任ある言及をしていない。一方、反対論者はグローバル経済のマイナス面をことさら強調しているだけで、実体経済との関連を無視した内需拡大論を説くか、或いは農業絶滅論を説くなどで、もしかしたら影響がもっと大きいと思われる農業分野以外の分野への影響を解説した書はまったくない。特にISD条項(投資家対国家間の紛争解決条項。紛争を処理するのは調停機関。効力は国内法規を超越。国家主権は働かないとされる)をどう考えるかは極めて重要なのだが・・・。更には相手国はどのような考えをもっているかを知ることは一番重要なのだが丁寧に取材した本もまったくない。メディアの怠慢もひどい。当面、プノンペンで開かれるASEAN+3首脳会議での野田首相の発言が踏みんだ発言をするのかどうか注目されている。
参考著作:渡邊頼純『TPP参加という決断』ウェッジ、中野剛志『TPP亡国論』集英社新書ほか
東大農学部公開セミナー第43回「グローバル経済と日本の農業」講演要旨集
参考:2011.11.13ブログ
by bonjinan | 2012-11-11 10:19 | 政治・経済