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円のゆくえ

片岡剛士『円のゆくえを問いなおす-実証的・歴史的にみた日本経済』ちくま新書(2012.7)を読んでみた。為替レートを決定すると言われている購買力平価説、金利平価説、経済政策に関するマンデル・フレミング効果、量的緩和策の効果とされるポートフォリオ・リバランス効果など基礎的理論を解説しながら論を進めていることで理路整然としており、また図表が多いことで理解し易い。著者は交易条件を上回る実質実効為替レートが「過度な円高」とし、この過度な円高をどう解消するかについて論じている。結論として、過去そして現在の金融政策としての量的緩和策は額も少なければ、買い付けの多くは短期国債、残存期間1年未満の長期国債であったことから、ポートフォリオ・リバランス効果が発揮しなかったのだと説く。本書を読むことで量的緩和策の徹底による効果を期待をしたくなるのだが、欧州危機が冷めやらず新興国、そしてわが国にもその影響が及んでいるいる現状、各国が公定歩合を下げ金融緩和している状況下ではその効果は疑問だ。95年頃より趨勢的に低下している交易条件は、円高による価格競争力の低下の段階から製品技術力そのものの低下の段階に移ってきていることを厳粛に認め、その改善(付加価値の向上、生産性の向上)をもっと真剣に議論すべきである。本書に限らず具体的策については個別企業の問題としてほとんど議論されないのが残念だ。
用語:ポートフォリオリバランス効果
金融緩和→日銀当座預金残高増→効果的な運用先を追求→投資増→景気回復
難しい用語を使っているが、銀行の国債買から銀行本来の融資、投資に動くこと。
用語:マンデル・フレミング・モデル
公共事業増→国債発行→国債価格下落(金利上昇)→円買い→円高→輸出競争力低下
金融緩和→通貨価値下落→円安→輸出競争力向上。
両者を比較し、外国との取引が大きい国では金融緩和が効果するとの説。
by bonjinan | 2012-10-17 20:00 | 読書