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西行の名歌より

先日、慶応文学部・寺沢先生の公開講座「西行の足跡とおくのほそ道」を拝聴した。
先生の歌を読むような名調子の講義に酔いしれた。
以下、西行(1118-1190)の名歌、メモ
「年たけてまた超ゆべしと思ひきや 命なりけり小夜の中山」
「風になびく富士の煙の空に消えて 行方も知らぬわが思ひかな」
「願はくは花のしたにて春死なむ そのきさらぎの望月のころ」 
 文治6年2月16日(1190年3月31日)永眠。釈迦入滅は2月15日。願い通りの死であった。
世を捨て、通常の社会生活を断念ないし放棄した人間が、かえって同時代や後代に、大きな影響を与えたことは、歴史上の一種のパラドックスといえる。和歌史上のみならず、思想史や文化史の上でも、稀有の存在。
「西行の和歌における、宗祇の連歌における、雪舟の絵における、利休が茶における、その貫通する ものは一なり」(芭蕉・笈の小文)
無常の自覚。無常とは、すべてが消滅・変化して定まらないこと。芭蕉にとって、西行は、その文学に傾倒する対象であっただけでなく、人生の師でもあった。芭蕉が文学や人間を真摯に語る場面ではしばしば西行が登場する。日本人の精神を語る場合、無常感なくしては語れない。なぜかくも引付けるのだろうか?  ・・・・・
by bonjinan | 2012-10-15 19:00 | 文化・歴史