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繰り返す金融危機

 リーマン・ショックに続いて欧州危機が世界の経済を揺さぶろうとしている。
伊藤正直 『なぜ金融危機はくり返すのか』 旬報社 2010.1 を読んだ。
「2008年9月に発表されたIMFの調査によれば、1970年から2007年までの38年間に、208か国で通貨危機が、124か国で銀行危機が、63か国で国家債務危機が発生しています。金融危機は、先進国新興工業国、開発途上国を問わず、発生してきたのです」という。
 なぜかくも金融危機は頻繁に発生するのだろうか。本書は、1980年代のアメリカ、北欧、アジアにおける危機の国際比較を、1930年代における世界大恐慌と日本の昭和恐慌を採り上げ危機の歴史的比較を行っている。経済現象を理解しようとする場合、或いは政策の是非を論ずる場合、表面的事象は同じでもその時の背景、評価期間を変えて検証しなければ正確な理解、解釈はできない。
本書は我々経済を学ぼうとする者に経済の学び方を丁寧に教えてくれている。それを知るだけでも勉強になる。さて本論のなぜ金融危機はくり返すのか。著者は、「長期的にはその対外価値を下落し続けてきたドルが、短期的には、もっとも低コストで効率的で安全な通貨となっているのです。この矛盾にこそ、今回の国際金融危機の本質があるといわなくてはなりません」という。また著者は、短期的に問題を解決する新たな、しかも現実的な金融システムの構築は難しく、「一国主義・二国間主義への傾斜を防止すること」、「国際機関の有効性ないしは国際機関の提起する政策の有効性を図ることです」と述べる。
本書はリーマン・ショックまでの金融危機について書かれたものだが、金融危機の本質を学ぶ上で良書。以下、欧州危機について考えてみる。今回の欧州危機は、第二の基軸通貨と期待されていたユーロへの信任低下に関する危機でもある。先進国、すなわち成熟国の通貨は本質的に価値が下落するものとみるのは早計だろうか。また良く言われる地域共通通貨も為替変動を取りあえず気にしなくても良い反面、国情が異なる国の間の経済調整機能が働かないことを証明したものと言える。金融のグローバル化が進み実体経済が必要とする約100倍ものマネーが世界中を駆け巡っていることを考えると、通貨危機、金融危機が引き起こされる機会はますます増えてきており、国際機関のまさに国際的視野に立った公平な政策に期待せざるをえない。17日にはギリシャ総選挙があり、18,19日にはメキシコでG20首脳会議が開催される。各国首脳は内外一致の実りある政策提示、発言を期待したい。
by bonjinan | 2012-06-15 10:30 | 読書