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挫折した政党政治

 御厨貴『さかのぼり日本史③、挫折した政党政治』NHK出版(2011.9)を読んだ。
前回総選挙で民主党は政党政治の理想と言われる政権交代を果し、切磋琢磨する二大政党時代が訪れるかと思われたが、期待に反し、政治状況はむしろ混迷の度を深めている。
本書をみると、1900年代初頭の桂内閣時代に「ねじれ現象」があり、原敬が先鞭をつけた政党政治の後にも「二大政党が交互に政権を担当する時代」があったが互いの潰しあいから自滅している。御厨は「振り返ってみると、第一次大隈内閣という初めての政党内閣の誕生から崩壊に至る過程でみえてきた「自分の利益しか考えない政党の体質」が、ほとんど本質的には変化することなく、日本における政党政治を貫いていたことにため息をつかざるをえません。そして、そのことが政党政治の自滅を招いたことも重要です」と述べている。しかしまた「政党自身の問題でもありますが、やはり彼らに議席を与える国民自身の問題でもあるのです。政党の現実に悲観したり絶望して見放してしまうのも国民であれば、政党に正しい在り方を求め、厳しくチェックするのも、結局は国民なわけです」とも述べる。政治に関する書物の多くは、天下国家を論じる形をとりながら本質は個人的利害に根差したものであったり、あるいは専門的過ぎて理解できないかのどちらかだが、本書は読み易いだけでなく、わが国政党政治に流れる本質的体質、すなわち選択幅が狭いにもかかわらず僅かな違いをことさら大きくし党利党略に明け暮れる体質、を知ることができる。建設的な議論をするためには共通点と異なる点を区分けし、それぞれの主張を冷静に理解することから始まるがそれができていない。権力闘争が政治だとするならば民主政治そのものが崩壊してしまう。
by bonjinan | 2012-06-04 07:54 | 読書