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美の方程式

美しいものには普遍的な法則があるのだろうか。
布施英利『美の方程式』講談社(2010年)を読んでみた。
古代ギリシャの哲学者・プラトン(紀元前427-347)は「美には四つの美、物質的な美、精神的な美、知性的な美、絶対的な美があり、絶対的な美を最上とする。絶対的な美とは燦然と輝くもの」と言ったという。何となく分かるような気がするが良くは理解できない。著者は美の方程式として「美=完璧×破れ」、美を生み出す過程を捉えて「完璧×破れ→美」だと説く。千利休の息子が完璧に庭掃除させたところに利休は木をゆすり葉を散らしたというエピソードを使い、「美にとって、まず必要なのは、完璧であることです。・・・中途半端なもの、いい加減なものはやはり美としては不十分です。しかし完璧なだけでは美しいと言えないのです。・・・仕上げの味付けが破れということになります」と述べる。こんな話を聞くとバルセロナのピカソ美術館に並べられたピカソの幼年期から老年期の絵を思い出す。ピカソと言えば抽象画となるが、幼年期から青年期には極めて精緻な絵を描いていた。しかも歳を増すにしたがって、どんどん上手くなっていったように思えた。ピカソといえども完璧を目指していたのだ。頂点を極めるには先ずは飽きるほど完璧を目指し続けるしかないらしい。 
参考:2010.9.6ブログ”美の構成学”2009.6.9ブログ”バルセロナ、ピカソ美術館”

by bonjinan | 2012-04-17 18:19 | 読書