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為替相場

輸出企業を悩ます円高ですが為替相場はどのような要因で動いているのだろうか。
佐々木融 『弱い日本の強い円』 日経新聞社(2011.10) を読むとスッキリする。
あらまし次の通り。ニュースでは短期金融市場の動きが報道されるために投機的な動きがすべてを決めているような誤解を招いている。短期的な資金移動は行きと帰りで相殺される性格のものでニュートラル。為替相場を動かしている中長期的要因は各国のインフレ率の違いからくる貨幣価値の変動、及び貨幣交換の向きの2つ。すなわち相手国のインフレ率>日本のインフレ率の関係では円の価値は上がるから当然円高に(購買力平価説)。また日本の貿易黒字が続く限り米ドル売り円買いのフロー、即ち円高基調は続くと説明する。為替相場の本質を淡々と説明してくれているのでわかり易い。次に本書をベースに現実の問題を考えてみたい。そもそも円高は悪か?確かに米ドル建ての輸出企業にとっては競争力を失うことになるので困ることだ。しかし日本全体では米ドル建て輸入>米ドル建て輸出の関係があるからすでに円高を享受しているのだ。問題は円高を内需拡大、海外直接投資など円高を上手く活かせないことにある。反対に急に円安に転じたならばどういうことになるのだろうか。むしろ恐ろしいことになる。間違いなく貿易赤字は更に拡大するだろう。しかも大赤字の電機などはウォン安が続いている限り輸出は増えない。デフレが悪いと言っているが望んでもいないインフレの時代が訪れるだけなのだ。利ざや稼ぎに外貨が短期的に流入し更なる円高となるだろうがその後はリスクを恐れて一気に円売り外貨買いの超円安、国債の暴落などまさに経済崩壊のシナリオしかない。著者が言うように短期的な資金移動は長期的にはニュートラルとはいえ現実にはキャピタルゲインを目的とした投資家の行動が同期するとバブルに続いて金融危機を引き起こすことは歴史が教えている。次に貿易赤字が長引くとどうなるのか?確かに経常収支としては黒字だから今すぐどうということはない。しかしそもそも所得収支も貿易黒字により積み重なったものであるから貿易赤字が恒常化すればこれも少なくなってくる。また所得収支の中身も株式投資などによるもので欧米の景気低迷が長引くと収益率が低下してくる。近年その傾向にある。今考えなければならないのは抜本的に輸出競争力を高めるための産業構造の転換ということになる。
by bonjinan | 2012-02-14 17:16 | 読書