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ドイツ病

欧州債務危機が叫ばれる中でドイツ、フランスは優等生のイメージが強い。しかし熊谷徹『ドイツに学べ』新潮選書(06.8)を読むと多くの問題を抱えていることが分かる。少々古い本なのだがまるで現在の日本をみているようである。慢性的な高失業率(約10%)、産業の空洞化、富の偏在、人口減少と公的年金の危機、社会に漂う閉塞感など失業率で差はあるもののわが国の抱える課題と同じなのだ。失業率については数字上は旧東ドイツの高失業率が足を引っ張る形なのだが、より大きな要因は中東欧諸国、新興国への産業移転が進んでいるからのようだ。またかつてマイスター制度で守られてきた社会に中欧からの手工業者が流入していることも失業率を高めているようだ。企業からみると高福祉国家ならではの労働コスト(04年、1時間当たりコスト27.6ユーロうち給料15.45、社会保険等付随費用12.15)に直面しており低労働コスト国に移転せざるをえないとの事情によるが、対策として海外移転だけだなくホワイトカラーの生産性向上、即ち価値の創造に必死に取り組もうとしているようなのでわが国より健全といえば健全である。コスト追及だけでは先細りになると考えているからだ。公的年金の危機は人口減少からきており30年には100人の払込者で100人の受給者を支えなければならないとのことでありこれもわが国と状況は同じである。ただわが国と違うところは財政規律を守ろうとして問題解決にあたっていることだ。著者は高福祉という甘い毒が国民に国家依存症というドイツ病をもたらしており治癒には相当な時間がかかるだろうとも述べる。振り返ってわが国をみると国に頼る地方の関係が固定化し、また国会議員がその利益誘導係りとして活動した結果、巨額の債務を積み上げた。ドイツとは違った経過で国民に国家依存症をもたらしてしまった。あるべき姿の追求を放棄してしまったようなわが国の病の方が重病かも知れない。何かにつけドイツに学ぶことは多そうだ。
by bonjinan | 2011-12-27 18:08 | 読書