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ポルダーモデル

今、ギリシャの財政赤字がEUを揺るがす事態になっている。今は優等生のオランダもかつては深刻な経済不況に陥っていた時期があった。どう克服したのか簡単に振り返ってみた。かつて日本が高度経済成長期にあった60年代後半、イギリスは「イギリス病」に、オランダは「オランダ病」に陥っていた。両国とも豊かな経済状態を背景に、安定した雇用環境、充実した社会保障制度を創りあげていたが、次第に国民の勤労意欲を低下させることとなり、73年のオイルショックの頃には国際競争力の低下、財政赤字、高失業率、物価高に悩むことになる。その後、イギリスにおいては79年にサッチャー政権が誕生し大きな政府から小さな政府への転換が大胆に行われていく。一方、オランダにおいてはイギリスとは正反対の政策を採る。かの有名な82年の「ワッセナー合意」で、利害の対立する労・使がオランダ製品の競争力回復を優先させ、労は賃上げを低く抑えることをのみ、使はパートタイム就業を正規雇用として認めるワークシェアリング制度をのむことに合意する。政策変更後、イギリス、オランダとも順調に経済が回復してきたわけではないが、現時点でみるとイギリス、オランダともにわが国を上回る1人当たりの国内総生産を達成している。特にオランダはEUの中でも優等生となっている。以下、オランダの成功例(ポルダーモデル)についてもう少し考えてみる。ポルダーモデルはオランダモデルとも言われ雇用政策の典型的モデルとして採り上げられるのだが、ワッセナー合意に至る経過は当然のことながら困難を極めた。それでも合意しえたのは対立していると国が沈没してしまうという危機感、まさにポルダー(開拓地)精神が発揮されたからだと説明される。しかし危機を共有したとしても、同じ制度を導入すれば成功するのだろうか。その他背景を点検してみる。先ずオランダは隠れた資源国だということだ。北海の天然ガス油田を有しエネルギー需要の約半分を自己調達できる。次にEUの中では豊かなドイツ、フランス、英国という大国に隣接ししかもその中心に位置していることだ。地の利を最大限活かすこと、かつ交易利得を高めなければ列強の間に挟まれ埋没してしまうことを歴史から体得していたことが大きい。困難に直面した場合、これが覚醒するからだ。最後にEUができかつユーロ圏にあること自体が幸運をもたらしているということだ。もともとシェル、フィリップス、ユニリーバなど国際優良企業が存在し、かつ高付加価値農業に特化しておりギルダー高を招きやすい環境にあったのだがユーロ圏に入り国際競争力が相対的に上がったことと需要が安定したことだ。(今、問題になってきたイタリアで考えると、旧通貨リラに対してユーロは相対的に高くなった)いずれにせよ国民の理性的判断が今日の安定を築いていることは間違いない。
by bonjinan | 2011-11-05 12:46 | 文化・歴史