今週は、浜矩子『「通貨」を知れば世界が読める』PHPビジネス新書(2011.6)。
東日本大震災、原発事故で識者による「想定外」という不遜な言葉が使われた。
冷静に考えてみれば「考えたくなかっただけのことが現実に起こった」であった。
最近の経済、金融についてみると、もっと深刻で「この先何が起こるのか想像すらできない」状態にある。例えば円高問題。この先、超円高になっても超円安になってもおかしくない状態にある。暫く前まで確固たる基軸通貨の地位にあったドルが「流動性ジレンマ」からその地位を脱落しつつあり、第二の基軸通貨と思われてきたユーロがこれまた崩壊しつつもある。著者は円が隠れ基軸通貨として「1ドル50円の時代を想定」する。各国が通貨安競争をしている現況をみればもっとも可能性が高いと思えてくる。もっと素朴に1985年のプラザ合意以降の為替相場を鳥瞰しても多少の上下変動はあったものの円高基調であったことからも頷ける。著者は将来の望ましい通貨の姿として地域通貨と決済通貨としての共通通貨の併存形態を描く。この論はともかく、本書を読めば通貨、基軸通貨の歴史とその意味、限界を我々素人に分かり易く説明してくれる。
追加
4日の東京市場一時1ユーロ100円88~92銭