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読書、都市の興亡

東日本大震災から半年。復旧、復興が急がれるのだが都市とはどのような性格のものなのか。
ジョエル・コトキン『都市から見る世界史』ランダムハウス講談社(2007.5)を読んでみた。
著者によれば「人類の最大の創造物は都市であり自然環境を再形成する能力の証である」そして「都市の栄枯盛衰を決定してきた普遍的要素は①場の神聖性②安全の必要性③商業の役割の三つ」だという。この切り口から東日本大震災後の復興について考えてみた。とりわけ重要なのは物理的復興もさることながら雇用の創出であることが分かる。
①場の神聖性
西洋では高い建物の大聖堂、モスクが町の神聖な場所として町の中心にあるが、わが国では町を見下ろす山をはじめ、広くは町を取り囲む自然景観そのものが信仰の対象であったからこの条件はいたるところ神聖な場所になりえた。問題があるとすれば山を崩すなどで元々の景観を大きく変えてしまうことだ。
②安全の必要性
大陸では民族の対立、都市の対立など人と人との抗争が絶え間なく繰り返され城塞で取り囲んだり、断崖の上に町を築くような防御をしてきた。わが国では人と人との争いを考える必要はなかったが自然災害が最も安全を脅かすものであった。しかし一方で自然は恵みをもたらす存在でもあったから災害も時にはやむを得ないものとして受入れてきた。今回の震災で大きな被害をもたらした津波だけ考えれば高台に移ることが基本だが厳しい自然環境のためこうした場所は限られ、経済的にも制約を受けることからそう簡単ではない。非常時には安全な場所に逃げやすくする工夫が不可欠になってくる。まさに創造力のみせどころだ。放射能汚染地域については、政府は除染すると言っているが政治的判断ではない冷静な判断をして貰いたいと思う。除染効果の限界も早急に明らかにすべきだ。生活設計に絡むからだ。
③商業の役割
物資の集散地となり人が行き交う場所でなければ町にはならない。今回の震災復興を考える場合にも最も重要になる。仕事がなければいくら町をかたちだけ復興してもすぐさまさびれてしまうからだ。漁業の復興が鍵になるのだが、元々漁業関係の仕事をされていた方が元の仕事に戻る程度では復興とはほど遠いものになる。そうでなくてもわが国の労働人口はこれから急速に減り国力も減衰していく。被災地からの人口流出は復興以前のゆゆしき問題で、復興の基本はより多くの雇用を創出できるかどうかに掛っている。なんだかんだ言いながら「現役世代のための復興投資となり借金だけを将来世代に残していく」ことになっていないか。これまでの公共投資と何が違うのか冷静に分析し点検する必要がある。
<参考データ>
日本の人口:1億2751万人、生産年齢人口(15~64歳):8149万人 @09年
これから20年で人口は約1200万人減、生産年齢人口は約1400万人減
被災3県の人口:567万人(日本の人口の約4.4%) @11年
震災による死亡者:15,782人、行方不明者4,086人、避難者:約8万人
被災3県からの転出:8万人、転出-転入差:3.6万人(住民票届出ベース)
震災失業者:約11万人(全国の完全失業者数302万人、失業率4.6%)
仕事がなければ人口減はますます加速することになる。
参考:6/19ブログ(集落の教え)
by bonjinan | 2011-09-12 12:19 | 読書