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政治の混乱はなぜ起こる

政権交代以降、政治の混乱が続いている。与野党対立に政権政党内の内紛が加わり収拾のつかない状態にある。権力の追及が目的化し感情むき出しの争いとなってきた感がある。かつて福沢諭吉は『文明論之概論』で「西洋の人は知恵に不似合なる銘説を唱えて不似合なる巧を行う者なり。東洋の人は知恵に不似合なる愚説を吐て不似合なる拙を尽くす者なり」と述べた。後日、脱亜論として非難もされるのであるが、今の政治状況をみていると今も新鮮に思えてくる。まさにマイナス・サムの世界だからだ。政治家を志向する人々は何らかのかたちで権力の座に就くことを自己実現と捉えた人たちと考えれば理解はできるのだが、理解できても国民には迷惑な話だ。なぜこうなってしまったのだろうか。佐々木は、政党の中に衆議により政策を磨き上げるプロセスがないことを指摘するがその通りだ。またそのプロセスがないから将来のトップリーダーとなるべき人物を見抜き自分の役割を自己認識するプロセスがないことから生じる混乱なのだ。最近、トップリーダーが選ばれては不満がでるのは、選ぶ人たちに人を視る目がなく選ぶ基準が動機不純だからであり、選ばれたトップリーダーになすべき仕事(役割)が鮮明にイメージされていないからだ。
参考:佐々木毅『政治の精神』岩波新書(2009.6)
by bonjinan | 2011-05-30 16:40 | 政治・経済