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今週の一冊、クレオパトラ

マイケル・フォス著田村明子訳 『知っていそうで知らなかったクレオパトラ』集英社(2000.10)
本書を読み始めるといつの間にか時空間を超えて古代エジプトの首都アレキサンドリアの町を歩いているような気分になってくる。まれにみる面白い歴史物語書だ。本書はクレオパトラ7世の個性を書いたものではなく、いつ攻めてくるかも知れない巨大ローマを前にしての王朝内部の権力闘争、国内の混乱の中で、自らも生き延び、かつプトレマイオス朝をいかにして存続させるか、生身の人間としてのクレオパトラ7世を描いている。さりながら気になるのは世界三大美女の一人として2000年にわたり語り継がれてきたクレオパトラとはどんな女性だったのか。その姿はコインに刻印された横顔程度しか残っていなく、後世の画家は二人の英雄(カエサル、アントニウス)を狂わせた娼婦に仕立て描いたものに過ぎなくその実像は分かっていないという。残っている記録はただ一つ歴史家プルタルコスの記録。「彼女の美貌はそれほどではなかったが、魂からにじみ出てくる魅力には抗えないものがあった。彼女の人間的魅力、会話のたくみさと、行動のすべてにあらわれる知性には独特の魔力があった。彼女の声は聞く者をうっとりさせた。そして弦が何本もある楽器のように、彼女は多くの言語を自由自在に話した。」この記録はクレオパトラの死後ずっと後に書かれたものだがプルタルコスの家族と王室専属の医師に交流があったことから信憑性が高い記録とされる。

*クレオパトラ7世(前69-前30):プトレマイオス朝、最後のファラオ。
カエサル(前100-前44):共和制ローマ期の政治家、軍人、名言「賽は投げられた」
アントニウス(前83頃-30):共和制ローマ期の政治家、軍人、カエサルの部下。
プルタコス(69頃-127頃):帝政ローマのギリシャ人著述家 
by bonjinan | 2011-01-23 21:38 | 読書