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セレンディピティ

今年のノーベル化学賞を受賞した鈴木博士が研究する喜びを「セレンディピティ」という言葉を使って表現された。この言葉 serenndipity はイギリスの政治家・小説家であったホレス・ウォルボールが小説のなかで書いた造語のようだ。普段使わない単語なので一般の辞書にはないが誰も少なからず体感している。難問を解決しようとあれこれ試行錯誤するがなかなか解が得られない。そんなとき、仕事場を離れ、食事しながら、散歩しながらも頭の中であれこれ試行錯誤していると偶然にも解をえることがある。新たな世界が開けたという喜びの瞬間だ。Wikipedia などでは何かを発見する能力、幸運をつかみ取る能力のことと解説されているが正確ではない。能力という言葉を強調すると人によってはどうにもならないものとの語感を感じる。誰でも経験できることで、夢や難問を自分の力で解決しようと継続的な努力をしていればふとした偶然から得られる新たな展望と言った方が良いでしょう。そのためには問題解決すれば自己満足だろうが何だろうが人一倍喜びが得られそうだと思う対象でなければ執念も起こらない。近年、何かにつけ成果、効率追求が強まり夢物語のような対象には誰も手を出さなくなってしまった。そこが問題だ。
補足
外山滋比古『思考の整理学』ちくま文庫、セレンディピティより
「18世紀のイギリスに、「セイロンの三王子」という童話が流布していた。この三王子は、よくものをなくして、さがしものをするのだが、ねらうものはいっこうにさがし出さないのに、まったく予期していないものを掘り出す名人だった、というのである。この童話をもとにして、文人で政治家のホレス・ウォルポールという人が、セレンディピティという語を新しく造った。」なおこのエッセイには潜水艦の機関音を捉える超音波探知機をつくって実験しているうち、イルカの交信音を捉えていることが判明し、イルカの言葉の研究が一躍脚光を浴びることになった話題が出ている。
by bonjinan | 2010-10-20 12:21 | 文化・歴史