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絵と真実

安野光雅著「絵の教室」(中公新書)カラー版が発売されています。
安野さんの絵は写実的でありながら人びとの生活があり、物語があり、動きがあります。
なぜこのような絵が描けるのか、何を考え描かれているのか興味津々で読ませていただきました。
絵と真実の項から抜粋して考えてみたいと思います。
「わたしたちが描く絵は、ちょうど舞台のできごとなのだと言うとわかりやすいのではないでしょうか。おもしろいことに、本当にあったこと(事実)には動かされないのに、絵なり映画なりになった「真実」のほうにこころ動かされるということがあるものです。
わたしたちが今まで追い求めてきた写実主義というものをよく考えてみると、本当の本当というので
はなくて、演劇的な「真実」だったのだ思い至ります。」 ・・・中略・・・ 
「わたしはそのとき「見たことのないもの」を描く世界があり、それがむしろ絵の本来のあり方だったかもしれないと思うようになりました。」と書かれています。
天使が宙を舞っているルネッサンス期の宗教画を考えてみたいと思います。みたこともない世界ですが、自然な感じ、いやむしろもっとのびやかに表現されています。もちろんしっかり描く技術があって表現されているのですが、その上に更に想像力、創造力が発揮されての絵です。では想像力、創造力はどこから生まれるのでしょうか。違いなく、人体の動きを良く観察しその動きが頭に入っているからこそと思います。
安野さんは、「子どもの時代のイマジネーションの積み重ねが、やがて、何事かを表現する力になる
と思います。」と仰っています。この想像力、創造力について、現代社会で考えてみたいと思います。自然の中で遊び観察することもなくなり、疑問があればうわべの答えはすぐ得られる時代になっています。子供たちはどこで想像力、創造力を育んでいくのでしょうか。昨今の活力のない社会を思うと、改めて想像力、創造力をどう育むのか、問題提起されたような気がします。
by bonjinan | 2009-10-01 18:10 | 読書