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低炭素化社会の必要性

鳩山首相が国連気候変動サミットで「20年度/90年度比25%削減」を宣言した。産業界からは直接的批判はないもののコストアップを伴い競争力を失うとして懸念が示されている。また長期的には寒冷期に向かうのだという説もある。でもそんな悠長な話なのか改めて何故必要なのか点検してみた。
<世界の共通認識>
現在、先進国で共通認識になっているのは、昨年、北海道洞爺湖サミットで合意された「50年の排出量を世界全体で半減させる」であり、イタリア・ラクイラサミットでの「先進国全体で80%以上削減」である。残念ながら、現状は目標であって、各国が達成に向けて具体的活動に入っているわけではないが、間違いなく共通認識になっている。
<その根拠>
先ず、化石燃料は有限であり、我々の次世代では枯渇するということ、また確保が日を追って厳しくなり調達コストが上がってくるということです。
・石油42年 ・天然ガス60年 ・石炭133年 ・ウラン100年
次に、よく問題にされる温暖化。産業革命以降二酸化炭素の蓄積が進み280ppmから現在380ppmに増加。年2ppmの増加スピードであり、あと10~30年で280pmm当時から2℃上昇。何度で止めるにしても、さしあたり地球の吸収量以下が目標となる。現在、地球の吸収能力は炭素換算3.1Gトン/年、対して人為的排出量は7.2Gトンであるから、単純に半減しなければならないということである。しかし地球の温度が上ってくると、土壌の有機物質が分解し、海洋に溶け込んだ二酸化炭酸が気化し、自然排出が増え吸収が減ってくる。ある試算によると、3~4℃上昇した場合、地球の吸収は2Gトンになるという。すなわち、大雑把には排出量を現状比1/4にしなければならなくなる。
<結論>
低炭素化は短期的には確かにコストアップになる。しかし何れ背負わなければならないコストであると考えて対策を採ることに越したことはない。経済界には規制のゆるい発展途上国に事業移転するしかないとの意見がある。これも早晩規制されるであろうし先進国の進出企業は真っ先に規制されるでしょう。またこの取組みに積極的な欧州が製品に対して何らかの規制をかけてくるでしょう。RoHS指令のようなものである。外圧によって初めて本腰を入れるようだと世界市場からはじき出されてしまう危険性もある。ここでは述べなかったが、排出量削減と並行して取り組まなければならないのは吸収技術。排出量取引など実施されるとすると有力な武器になる。新しい産業の基軸として本腰を入れるべき分野であることに変りはありません。

*参考資料:大気環境学会50周年記念公開シンポジウム資料
追加(2013.11.20読売)環境省は19日、2012年度の日本の温室ガス排出量(速報値)は、13億4100万トン(1990年度日6.3%増)と発表した。12年度までの5年間の平均では90年度比8.2%減だったことから、日本に6%減を義務づけた京都議定書の目標は達成した。12年度の排出量は11年度比も3320万トン増えた。議定書の目標が達成されたことについては、08年秋のリーマンショックによる景気低迷の影響、途上国での削減分を日本の削減分に算入する排出量取引、森林を手入れすることで削減とみなす制度などあってのことで、原発停止の影響を除いて積極的努力がどこまで実を結んだのかは正直分からない。京都議定書後の13~20年の削減については05年度比3.8%減としている。
by bonjinan | 2009-09-25 10:08 | 政治・経済