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グローバル化の波に抗って

ボルドーワインで有名な仏ボルドーの近く、人口2000人強の小さな町、サンテミリオンが文化的景観として世界遺産(1999年)に登録されている。どこにでもありそうなぶどう畑の小さな町がなぜ世界遺産なのか。今でこそボルドーと言えばワインの産地で有名だが、地中海沿岸地方と違って低温、湿潤な気候でぶどうには不適な地。どうやらこの不適な地に合った品種を探り当て育てた人々への敬意、これからもぶどう園を守ろうとする人々への応援からのようだ。「探検ロマン世界遺産」取材班 『世界遺産、いま明らかになる7つの謎』 講談社+α新書に魅力ある話があった。以下抜粋。
かの有名なアダム・スミスの言葉「ぶどうの樹はどんな果樹よりも、その土地の個性を反映しやすい』国富論(1776年)。「土地の個性」とは仏語の「テロワール」という概念にあたる。気候や地形、土壌などそのぶどう畑がもっている環境特性を表す言葉であり、・・・「ワインはテロワールの表現だ」と言いきる人さえいる」。
「畑の区画ごとに、テロワールにあわせて樽の種類を選ぶ」。「ワインの熟成はフランス語で「エルヴァージュ」というが、「エルヴェ」というのは「子供を育てる」という意味の言葉」。ワイン造りが始まったのは古代ローマ時代に遡るが、「ワインの産地として有名になるきっかけは12世紀、イングランドの統治下におかれたことだった。樽詰されたワインは続々と海を渡り、イングランドの王族や貴族たちの間で評判をよんだ」。「ワインの品質向上に重要な役割を果たしたのが自治組織「ジュラード」だった。その後フランス革命でこの組織は解散したがシャトー格付け制度として今もその精神は受け継がれている」。
最後に魅力ある話として、「グローバル化の波に抗って・・・・ワインの世界にも今、グローバル化の波が押し寄せ、大資本の参入が進んでいる。「私たちのぶどう園を外国資本の買収から守らなくてはならない」サンテミリオンの世界遺産への登録申請の背景には人々のそうした危機感があった、という話を(シャトーのオーナー)ベルトランさんから聞いた」とあった。
補足:仏語で地球、土地を表すterre(テール)から派生したterroir(テロワール)はぶどうが育つ土壌。ワインの世界では上記のような繊細な意味を含めて良く出てくる。同じくelever→elevage
参考:NHKホームページ「サンテミリオン」
参考:2012.1.11ブログ記事”ワインの科学”
参考:最近飲んで美味しかったワイン、”長野シャルドネ”(白)、by St.Cousair(サンクゼール)
by bonjinan | 2013-07-20 20:45 | 読書