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京都・相国寺の庭

京都には数多くの名園があり優劣つけがたいが、旅行から1か月、特に記憶に残る庭園の一つに、相国寺(しょうこくじ)開山堂庭園「龍渕水の庭」がある。山水の庭と枯山水平庭が併存し、かつてはその境に水が流れていたという。石庭としては龍安寺の庭が余りにも有名で研究者までもなぜ美しいかうん蓄を語っているが、開山堂庭園はなぜ美しいのだろうとは考えさせない。ただ美しい。白砂ともみじの緑のコントラストが目に焼き付いたからだろうか。
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広大な相国寺境内
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開山堂庭園:白砂と松、もみじの緑が眩しい。
秋には白砂と真っ赤な紅葉とのコントラストが楽しめるという。
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白砂に写った赤松の陰がまた美しい。

参考:相国寺寺派ホームページ

(雑学)相国寺の大塔
足利義満ゆかりの建物といえば、金閣寺、相国寺が有名だが、父義詮の菩提を弔うため、相国寺の付属施設として、巨大な七重塔を上建立(落成供養1399年)している。塔の高さは360尺(約110m)、現在、京都で最も高い東寺の五重塔が55mだからいかに巨大だったが分かる。しかし高い建物には雷が落ちやすい。わずか4年で落雷により焼失している。
(出典:山本博文監修『あなたの知らない京都府の歴史』洋泉社)

(雑学2)洛中洛外図屏風
洛中洛外図といえば、狩野永徳『洛中洛外図屏風、上杉本』1565年、米沢上杉博物館蔵(国宝)、六曲一双が特に有名。右扇で京都の東側(1~3扇で夏、4~6扇で春)、左扇で西側(1~3扇で冬、4~6扇で秋)を描いている。これほどの大掛かりな絵を描くにあたって、どこから鳥瞰した絵なのか気になるが、右隻、左扇の堺、有名寺院の配置などからどうやら相国寺の7重の塔から見た景色を誰かが描いていて、それをもとに描きなおしたのではないかと言われている。もちろん京都の町の鳥瞰は周りの山からでもできるだろうが、町の様子が小さくなってしまい遠近感に乏しく、リアルな感覚で描くことはできなかったはずだ。

(雑学3)雪舟、若冲
雪舟等楊(1420-1506):備中赤浜生れ。幼少で地元の宝福寺に入り、ほどなく京都・相国寺に移る。禅の修行とともに将軍家御用絵師であった周文に水墨画を学んだ。伊藤若冲(1716-1800):京都錦小路の青物問屋の長男として生まれる。緻密な描写+想像力による独創的な絵画を残した。相国寺法堂須弥壇の天井画、鹿苑寺の障壁画を手掛けたほか『釈迦三尊図』(相国寺承天閣美術館)などを残した。雅号「若冲居士」(大盈は沖(むな)しきが若(ごと)きも、其の用は窮(きわ)まらず)は相国寺大典顕常禅師から与えられたもの。 話はそれるが当時、若冲と並ぶ人気画家だった丹波生まれの円山応挙(1733-1795)が錦小路近くの四条道り沿いに住んでいた。ちなみに江戸時代に発行された『平安人物志』という京都の紳士録には若冲、応挙は画家の分野で2,3番目に掲載される有名人だった。明治期になっては1885年に相国寺で若冲没後85年を記念して大規模な法要が営まれている。

by bonjinan | 2012-07-02 12:41 | 旅、散歩