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企業の経営指標から

私は景気を良くするのも悪くするのも企業行動にあると思っています。近年、雇用、格差問題の広がりからライン型資本主義、ステークホルダー資本主義が見直されつつあります。それではわが国の企業はアングロサクソン型資本主義、株主資本主義を消化し新たなステージに立てたのだろうか。答えはノー。消化できずかって日本の経営の良さともいわれた長期的展望に立った経営が希薄になり、短期的な経営となり結果として先々の展望が拓けない状態に陥っているように思う。わが国企業の経営指標から確認します。ROA(総資産利益率)、ROE(株主資本利益率)、売上高利益率のいづれをとっても欧州、米国の約半分に過ぎない。
例えばROEでみると欧米の約20%に対して日本は約10%。一方、総資本回転率では米国、欧州を凌ぎ、配当性向では上昇。ここから見えることは大局的には薄利多売、棚卸資産の圧縮など合理化に邁進し、株主への利益還元だけは努力していた、そんな2000年代の姿がはっきりしてきます。
もう一つ労働分配率(人件費÷(人件費+原価償却+経常利益))をみてみるとリーマンショック前では低下していたものの欧米とほぼ同じ水準の60%強にあった。この面からすると大きな優劣はなかったがリーマンショック以後、ドイツとともに一気に70%に跳ね上がった。このまま維持できるのであればそれはそれで新しい展開となるのだが元々売上高利益率が低いわけですから人件費削減が強い流れになってしまった。円高と相まって賃上げどころではないとなった。結局、わが国の産業のあるべき姿は、国内戦略と海外戦略を峻別し、国内ではあくまで高付加価値な商品・サービスの追求、海外では現地生産現地販売を基本とした投資戦略に分けて考えなければならないのだと言える。
参考:平成22年版経済財政白書、「先進国における労働分配率の動向」日本総研09年

2015.1.18追加 ROE経営目標広がる(日経)
日本の企業は欧米企業と比べ、売上高利益率で約1/2、ROEとなると1/3以下の現況を踏まえれば当然の経営目標である。しかしなぜそうなっているのだろうか。筆者にはリスクを恐れ未来に懸ける攻めの姿勢が欠落していたからだと思えてならない。
by bonjinan | 2012-01-30 12:46 | 政治・経済